私立?ふぇむと学園! | ナノ





いつもと同じように学校へと向かっていく。


駅まで歩いて電車に乗って、そして少し歩く。なんてことのない道だけど、毎回毎回この道を歩くことが私には楽しいことの一つだったりする。


いつもと同じようにしているのに、周りはいつもと違うんだ。

いつもは見かけない人が前を歩いていたり、いつも見かける他の学校の生徒さんが髪の毛を切っていたりとか。いつもと同じようにしているのに毎回毎回違うところが見つかる。それが楽しくてしょうがなかった。


今日はどんなことがあるんだろうと、背負っていたリュックを背負い直して学校への道のりを歩いた。



『んー』



今日は特別違うこともなかったなあと思いながら校門を通り、昇降口にやってきた。少し早い時間だからそれほど混み合っていない昇降口。これもいつもと一緒。

でも、ひとつだけ違った



『あれ?エース??』

「おー!名前おはよー!」

『うん、おはよう。早くない?』



昇降口にいたのは遅刻魔で有名なエース。遅刻しないにしろこんな時間帯にここに居るなんて。



「なーんか早起きしちまってな」

『へー。あ、傘持ってきてない……』

「おま、酷くねぇ?」

『だって、エースが早起きとか雨降るに決まってるじゃん』

「あのなぁ……」

『それにしたって珍しいじゃない?』

「俺も自分で驚いてんだ」



表情豊かなエースは、感情が表情に出やすい。だから、今エースが自分自身で驚いているというのも本当のことだってわかる。



「そー思えば、名前も早いよな。いつもこの時間なのか?」

『そうだよ。いつもこんなかんじ』

「へー、大変じゃねえの?」

『もう習慣だしね。それにエースと違ってそんなに家近くないもん』

「あー、電車のんなきゃいけねえんだっけ?」

『そうそう』



私は学校に行くまでかなり時間を使う。でもエースを近いところに家が有り、徒歩10分程度で着いてしまう。それで遅刻するのだから本当に困った話だよね。



「にしても、こんなことならこの時間に来るのも悪くねえな」

『は?』

「んー?この時間に来るのもいいんじゃねえかなーってな」

『いい心がけだけど、毎日雨は勘弁』

「だからな……」

『はいはい。でもどうしたの?』

「んー?朝一で名前に会えるならいいかもなーってな」



こういことをサラッと言っちゃうから、本当に困った男だよね





おはようの魔法



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