「ほら、起きて。おーきーてー」
『んー……』
「起きないとキスするけど、いい?僕的にはそのままで『おきた』」
「ん、おきた」
『そう、沖田』
「『………』」
小鳥が鳴き始めて早数時間。
淡い色のカーテンからは、あたたかな太陽の光が差し込んできている。
この部屋の住人、名前はベッドから体を起こし、ベッドの傍らにいる沖田総司を見つめた。
『……おはよう?』
「うん、おはよう」
そして名前は壁に掛けてある時計に目をやった。
時計の針は8を指し終え、着実に9へと近づいていた。
『……!!』
「やっと気づいた?」
『も、もっと早く起こしてよっ!!』
名前はわたわたとベッドから出ると、まっ先にクローゼットの扉を開け放った。
『…………なにしてるの?』
「なにって?」
『……出ていきなさいよ』
「えー?」
『えー?じゃないっ!』
名前は総司を部屋からたたき出すと、すぐさま制服に着替えた。
着替え終えた名前はリビングへと走った。
『はぁ、はぁ、』
「お疲れ様。朝ごはんどうする?」
『食べてる暇あると思う?』
「あはは」
『もう、いくよっ!こんなときに限って一時間目、土方先生なんだからっ!』
「はいはい」
焦る名前とは対照的な総司。それどころか、どこか楽しそうだ。
「はい、名前」
『!』
靴を履き終えた名前に総司は手を差し伸べた。
名前は顔を真っ赤にしながらも差し伸べられた手に自らの手を重ねた。
「じゃ、いこうか」
『うん』
目覚ましがわりの君の声
prev / next