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雪降る夜に、


「それでねそれでねっ」


日曜日の昼下がり、
最早指定席となっているその席にはそっくりな男女の姿
2人は毎週日曜日の決まった時間に、このカフェで会う約束をしている

男の方は、頬杖をつきながら、目の前で楽しそうに話す少女を見て笑顔を浮かべている


「ねぇっチョロくん聞いてる?」


いつまでもにこにこしている彼を見て、話を聞いていない、と思ったのか、彼女はむっとした声色で言った


「聞いてるよぉ。…で、続きは?」


にこり、と笑みを深くしてそう言えば、ぱっと彼女の表情も明るくなり、再び楽しそうに話しはじめた


「(……もう、付き合って1年ですか…)」


ふ、と思い出した去年の2月5日の話、
それは、チョロが巡に告白した日である



――――――――――



「わ、もうこんな時間…」


カフェの壁に掛けられた時計を見れば、既に時刻は午後7時を過ぎていた


「帰らなきゃ…円さんが心配しちゃう」


「そうだねぇ……じゃあそろそろ帰りましょうかぁ」


帰る準備をして、会計を済ませて外に出てみれば、昼間の晴天とはうってかわって、雪が降り始めていた


「っさむーい…!」

「これ、つけてなよぉ」


手をこすり合わせる巡に、チョロが差し出したのは紫の手袋

ぱちくり、と瞬きを数回繰り返した後、受け取ってから嬉しそうに笑う


「あの時と同じだね!」

「…あぁ、私とメグが初めて会った日ですかぁ」


ベランダで1人たっていた巡に、今と同じようにチョロが手袋を差し出した
それから2人は仲良くなっていったのだ


「メグはチョロくんのおかげで頑張れたんだよ」

「ふふ、知ってるよぉ。もう何回も聞いたしねぇ」


くつくつと笑うチョロ
それにつられて巡も笑顔になる


最初は妹の様な存在だったのに、今では彼女の事を、1人の女の子として、好きになっていた

「メグ、」

「なぁに、チョロくん?」

「私と一緒にいてくれませんか?」


さらり、
そう告げたチョロに、巡は思わず え? と声を漏らす

「チョロくん、それって」
「要は、私と付き合ってください、って事ですv」

「……え?……えっ!?」

どういう事?と続けようとした言葉はチョロからの突然の告白により遮られてしまった
驚きで思わず立ち止まり、チョロの顔を見る
チョロは、にこにこといつもと変わらない笑顔で首を傾げた


「それ…本当…?」
「えぇ、勿論」
「っ…!!」


ぼんっ!と音が出そうな程に赤面する
思わず動揺してチョロから目を逸らせば、さくさくと音を鳴らして近付いてきたチョロが お返事は? と囁いた

そんな目の前に立つ彼にぎゅっと抱きついて一言、

「…いいよ///」

しんしんと雪が降り積もる夜、
こうして、2人は付き合いはじめたのだった



――――――――――



「(…今思えば、あの時キスしてあげた方がよかったんですかねぇ…)」

うーん、と難しい表情をしたチョロを不思議に思ったのか、 どうしたの? と首を傾げる巡
それを見てにこりと笑ったチョロは、ちゅ、と不意にキスをした
突然の事にしばらく呆然としていた巡も、あの時と同じように赤面すると、むぅっと頬を膨らませて、お返し、とばかりにキスをする
油断していたところへの反撃に、思わず数秒フリーズしたチョロだったが、すぐに満面の笑みを浮かべて


「巡、」





あいしていますよ。


(その言葉は、)
(最大級の愛情表現!)


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