「けほっ」 「大丈夫かギン千代?」 「うるさい…げほっ」 薄着で長い間寒空の下に居たギン千代は、 案の定風邪を引いた。 宗茂はそんな彼女に甲斐甲斐しく世話を焼こうとするのだが、 ギン千代には拒否されてばかりである。 もっとも、その原因は宗茂自身にあるのだが…。 「ギン千代、汗をかいただろう? 手伝ってやるから着替えろ」 「いい!自分で出来る!」 「じゃあ飯を食わせてやろう。 辛いだろうから口移しで」 「いらぬ!自分で食べられる!」 「それなら…」 「しつこいぞ宗茂!」 しばらく問答を繰り返してるうちに、 ギン千代が力尽きて布団に沈んだ。 その後宗茂はギン千代の世話を、 見舞いにやってきた稲に取って代わられた挙句、 体に障るからと面会すら許されなくなるのだった。 しおりを挟む back ×
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