マイユニについて



二人の絆がとても強いことは、見ていてよく分かる。
だからこそ有り得ないと思っていた。
こんなにも強い絆で結ばれているのだから。
それでも、分かってしまった。あの人は―




「ごめんなさい、ルグレさん」
「ルキナ!?」
胸がちりちりと痛む。
これもすべてお父様のため、
絶望の未来を回避するため。
そう自分に言い聞かせて、
ルキナは目の前の人物へ刃を向けた。
驚きと悲しみが入り混じった表情を向けてくる、
誰よりも愛おしい人をこの手にかけることになる。
愛した相手が、未来で父を殺した仇敵とは。
(神様は意地悪ですね…)
ルキナは心の中で自嘲ぎみに呟いた。
剣を握り直し、まっすぐルグレを見据えて
未来のことをポツポツと話し始めた。
未来でクロムを殺したのはルグレ自身であること。
最初は信じられなかったが、
ファウダーの支配に逆らえなかったのを見て確信したこと。
全てを話した。
「僕が、クロムを…?」
未だに信じられないという顔をするルグレをよそに、
ルキナは言葉を続ける。
「せめて苦しまないようにします。
抵抗しないでください、ルグレさん…」
ファルシオンを握る手が微かに震える。
ふいにルグレの表情が和らいだ。
「わかった」
それだけ言うと、
優しく微笑んでルキナを見つめた。
(どうして…!)
「どうしてそんなに優しい顔を…?
私はお父様と世界のために…」
恋人のあなたを殺そうとしているのに。
そう言ったルキナの表情が苦渋に歪む。
剣を握る手が微かに震えている。




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