マイユニについて



香ばしい匂いを放つ大きめの焼き菓子。
先ほど甘党の盗賊ガイアから貰ってきたものだ。
彼は自分の好みを熟知しているようで、
度々こうしてお菓子をくれる。
今日のはあの人も好きだったはずだ。
二人で分けようとルキナは歩くスピードを上げた。




「ルグレさん、いらっしゃいますか?」
「ルキナかい?うん、居るよ」
ルグレの天幕の外から声をかけると、
少し間を開けて返事が返ってきた。
焼き菓子を落とさないよう注意しながら中に入ると、
文机に向かって何やら作業しているルグレが目に入った。
「もしかして、今お忙しいですか?」
心配になって聞いてみると、
殊更優しい声音て、大丈夫と一言返ってきたが
作業を止める気配を感じない。
再び同じことを聞くのもはばかられたので、
とりあえず邪魔にならないところに座ることにした。
少ししてペンを置いたルグレが振り返り、
申し訳なさそうな顔でごめんねと言ってきた。
「忙しい訳ではなかったんだけどね。
ところでルキナは何でここに?」
「えっと…ガイアさんから焼き菓子を頂いたので、
二人で食べたいと…迷惑、でしたか?」
声が段々小さくなる。
仕事中押し掛けるなんて迷惑でしかない。
そう考えて思わず俯いた。
するとルグレは
ルキナが抱える焼き菓子を手にとりふっと笑った。
「迷惑な訳ないじゃないか。ありがとうルキナ」
ルグレの言葉にルキナは顔を綻ばせた。
「ナイフを持ってくるから、ちょっと待ってくれるかい?」
「はい!あ、じゃあ私は紅茶を淹れますね!
ブレディにイイ茶葉を頂いたので」
「お願いするよ」
そういってルグレが天幕を出て行くと、
ルキナはそそくさとカップと取り皿、
フォークを机の上に並べる。
焼き菓子を取り出し一番大きな皿に乗せ、
中央に置くと、紅茶を淹れた。




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