マイユニについて



親友だと思っていた奴がある日突然、義理の息子になろうとしていた。
まさに青天の霹靂。寝耳に水。

「は…?」
親友であるルグレの口から出た言葉に、
なんとも間抜けな顔で聞き返した。
信じられない言葉を聞いた気がする。
「だから、お前の娘を俺に下さい」
「それは…つまり…」
「ルキナとの結婚を認めてくれ」
「私からもお願いしますお父様」
未来から来たとはいえ、ルキナは大事な娘だ。
どこの馬の骨ともわからない輩にやるつもりは毛頭ない。
しかしルグレなら、
ルキナを幸せにしてくれるのではないだろうか…。
(ルキナも望んでいることのようだし…)
「娘を嫁にやる父親の気持ちはこんなに複雑なのか…」
「は?」
悶々と考えを廻られているうちに
思わず漏れた言葉に、二人は素っ頓狂な表情をした。
「いや…ルグレ」
「なんだい?」
クロムの真剣な表情に、空気がピンと張り詰める
「ルキナ…娘を、よろしく頼む。
未来から来たと言っても俺の娘だからな、
悲しませたりしたら許さんぞ」
ふと笑みを浮かべながら言うクロムに、
ルグレも微笑み、しかし真剣さは失わずに頷いた。
「ああもちろんだ。ルキナは俺が必ず幸せにする」
そう言ってルグレは隣にいるルキナの方を抱いた。
ルキナは恥ずかしそうに、
それでいて幸せそうに微笑んだ。
戦い続きの毎日における、
つかの間の幸福を三人は噛み締めたのだった。






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