マイユニについて



「大丈夫だよ。一瞬で終わらせてくれるんだろ?
ルキナ…どうか幸せになってくれ」
「そんな…!ルグレ…さん…!」
(僕が死んでクロムが助かるなら、
ルキナが幸せになれるなら…悔いはない)
一度目を閉じて、深呼吸をする。
そうしてから、今にも泣き出しそうなルキナに、
ルグレは努めて優しく声をかける。
「さあ、ルキナ」
ルキナを見据えて両手を軽く広げ、待つ。
「ルグレ…さん…!っ…ううっ…!」
耐えきれなくなったルキナは、
ルグレに向けていた剣を下ろした。
嗚咽とともにあふれる涙が、
頬をつたいパタパタと地面を濡らす。
「…で、できません…!やっぱり私には…
愛するあなたを殺すなんてこと…!」
泣きじゃくりながらそう告げるルキナを
ルグレは相変わらず優しげに見つめる。
「ごめん…なさい…!
ごめんなさいルグレさん!私は、私は…!」
「ルキナ…」
謝罪を繰り返すルキナに、
話を聞いていたらしいクロムが声をかけた。
「ルキナ…気は済んだか?」
「お父様…話を…?」
「ああ。悪いが聞かせてもらった」
顔を上げたルキナに、クロムは心配するなと
自分がいかにルグレを信頼しているか諭した。
「俺とルグレは一心同体だ。そう誓ったんだ。
この絆は何があろうと断たれたりしない。
それに今はお前だっているんだ」
だから大丈夫だ。そういってクロムは笑い、
釣られてルキナも薄く微笑んだ。
それから再びルグレに向き直り
申し訳なさそうな顔をして俯いた
「ごめんなさいルグレさん…。
私は決して許されないことをしました。
未来がどうなるかなんて私にもわかりません。
でも、私も信じます。」
お父様とルグレさんを。
そう言ってルキナは二人の手をとった。
「戻ろう、ルキナ」
そういってルキナの手を握り返したルグレは
いつもと変わらず、優しい笑顔を浮かべていた。



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