マイユニについて



それから街へ出て、一通り買い物をすませた。
買った肉の量に少し後悔しながら(自分の非力さを改めて痛感した)帰りを急ぐ。
日暮れにはみんなが帰ってくる予定だ。
それまでには夕食の準備を済ませ、帳簿も書き終えなければ。
そんなことを考えていたら、顔に出ていたらしい。
傍らを歩く少女が声をかけてきた。
「セネリオ大丈夫?ごめんね?重いもの持たせちゃって」
「別に。僕だって男ですから」
「でも、セネリオ怖い顔してるよ?」
「…もとからこんな顔です」
別に重いからでは無いのだが。彼女はそう考えたらしい。
自分がそう返すと、彼女は俯いて黙り込んでしまった。
少し後悔したが、自分も何を話せばいいか分からないので黙っていた。
「セネリオ」
「何ですか」
しばらく歩いたところで、彼女が再び口を開いた。
「セネリオはどうしてこの傭兵団で参謀なんてしてるの?セネリオだったら、
もっとすごいところで働けると思うのに」
「それは、僕に出ていけと言いたいのですか?」
自分の卑屈な心は彼女の言葉をそう捉えた。
彼女は違うよ!と首を横に振った。
「勿体ないなと思ったの。
 ここだとセネリオの才能が十分に発揮出来てないんじゃないかなって」
「それなら、僕だけでなく傭兵団の全員に言えることでは?」
「え?」
「みんな、王宮騎士団でだってやっていける実力の持ち主です。
 それでも傭兵団に留まり続けているのは、
 みんな傭兵団が好きだからです。みんな自分の意思で留まってるんです」
だからあなたが気負う必要なんてありません。
そういうと彼女はありがとうと言って微笑んだ。
「それに僕は参謀としての力をアイクのため以外に使う気はありませんから」
付け足して言うと、彼女は本格的に笑い出した。
「ふふっセネリオらしいね」
「急ぎましょう。夕暮れにはアイク達が帰ってくる予定です」
「うん!」
笑顔で頷いた彼女を見て抱えた食材(だいたい肉)を抱え直し、歩く速度を速めた。
今日の夕食が楽しみだ。
そう思うとにわかにお腹が減ってきた。


あとがき→



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