第二章没(十字路)

2011/04/09 19:50
実は今後の物語につながる大事な描写だったりする。でも設定を色々変えたらこの描写に関わる設定をなくしてしまったので、没にせざるを得ませんでした。



この味を知っている。そう、確か孤児院で出されていたスープの味に似ている。
 シェンナはスープを味わいながら、ぼうっと考えに耽っていた。

「変な味でもしましたか? 味は保証しかねますが」

 スープを作った張本人であるテルジアが、心配そうにシェンナを見つめていた。
 シェンナは忙しなく首を横に振り、慌てて否定を示す。
 あり得ない。彼とは初対面。ただスープの味が似ているだけだ。情報が行き交う都市から来た彼なら、様々な料理を知っていてもおかしくはない。ただ、作り方が同じだっただけ。
 シェンナは自分に言い聞かせ、何を否定しようとしているのか自分でもわからないほどに心の中で否定を繰り返す。
一体自分は何をしようとしているのか。何を否定したいのか……。
 シェンナは一人、疑問に疑問を浮かべて食事の手を再開した。
 テルジアは何があったのかとシェンナを見つめているが、何も聞いては来ない。





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