※とにかく暗い





雨の音で目が覚めた。言う事を聞かない体を無理矢理起こし、横を見れば下着だけのグリーンの姿。ぼんやりとする思考回路をなんとか使って自分の格好を確認すれば私も下着だけであった。
時刻を確認すると3時17分。随分と変な時間に目が覚めてしまったものだ。グリーンを起こさないようにそっとベッドから出る。未だにだるい体を伸ばし、床に放置していた鞄からポケギアを取り出す。不在着信が45件、かけてきた相手はレッドだった。驚いた、無関心で無頓着なレッドがここまでするなんて。大量の不在通知を削除し終えると新着メールが一件あるのに気が付いた。差出人はカスミ。内容は見ないでもなんとなく予想できる。ため息をつきながらメールをあける。

『やっぱりそういうの良くないわよ。レッドが探してる。』

やっぱり予想通りだった。ごめんねカスミ、私はもうきっとこの関係から抜け出せない気がするの。
私は再びポケギアを床に放置するとリビングに向かい冷蔵庫を開けミネラルウォーターを取り出し一口飲んだ。微妙に開いたカーテンの隙間から見える外の景色は灰色の空の曇天で、雨がぱらぱら窓にぶつかっていた。ミネラルウォーターを冷蔵庫に戻し再びベッドに横たわる。ギシリ、とスプリングが悲鳴をあげた。
目を閉じると浮かんでくるのは先程の扇情的なグリーンの顔で、私はひとつため息をついた。

「眠れないのか?」

隣で寝ていた筈のグリーンが気だるげに呟いた。はっきりした口調やぱっちり開いている瞳から大分前から起きていたことを悟った。

「いつから起きてたの?」
「お前がポケギアいじり始めた辺り」
「声かければ良かったのに」
「お前があんまりにもポケギアに夢中だったから悪いかなと思ってよ。で、…レッドか?」
「うん。あとカスミからメール」

「ふうん…カスミか…」なんて言いながら私の方に向き直るグリーン。今改めて思ったけどやっぱりグリーンってかっこいい顔してるな。性格もそれなりにいいし。モテるのも頷ける。

「なぁ、なまえ」

そんな悠長な事を考えていると突然グリーンが真剣に私の名前を呼んだ。私もグリーンに向き直り視線をあわせる。

「お前本当にずっとこのままの関係でいいのかよ」

グリーンが聞いてきたのは私がずっと見て見ぬふりをしてきた現実だった。私にはレッドがいる。左手の薬指の指輪がキラリと光った。

「…いけないことだってわかってるよ、でも」
「このスリルがたまらない、だろ?」

得意気に鼻をならしながら笑ったグリーン。流石は幼なじみ、というべきか。

「…よくわかってるじゃん」
「何年幼なじみやってると思ってるんだよ」

お互いふふ、と笑うとどちらからともなく甘いキスをする。ねぇお願いグリーン、今は私を強く抱き締めていて。



_____________
レッドさんごめんなさい!!BGMはピアノ×フォルテ×スキャンダルです。ほぼ自己解釈です、苦手な方はすいませんでした(´`;)


2011.11.05

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -