冬休みに入っておひさま園はいつも以上に忙しくなった。もうすぐクリスマス、おひさま園の小さい子供たちは未だにサンタを信じている年頃だからここを管理している瞳子さんや手伝いに来るヒロトさん達は音をあげつつも子供たちの笑顔を見るために寝る間を惜しんで働いていた。かくいう俺も、柄じゃないのは分かっているけど時間が許す限り子供達の面倒を見て、一緒にサッカーをやったりして過ごしていた。たまに南雲さんや涼野さんが混ざると二人が戦いだしてヒロトさんに怒られたりしてて、それがおかしくて俺達は腹を抱えて笑った。血は繋がっていないとしてもこの人達と本物の家族になれた気がしてなんだか嬉しかった。それでも、俺は未だに1つだけ許せないことがあった。

子供たちが寝静まった頃、俺達は皆で炬燵に入りゆっくりとした時間を過ごしていた。瞳子さんは一人で寝れない子と一緒に寝てしまったので、代わりになまえさんが入れてくれたココアを一口、口に含んだ。甘い香りが口一杯に広がっていく。

「そういえば、なまえさんって雷門出身なんでしょ?攻めてきた宇宙人ってどんな人だったんですか?」

俺が唐突になまえさんに問い掛けると周りにいたヒロトさん達が凍りついた。南雲さんに至っては焦りすぎてやっていた携帯ゲーム機を落としていた。何やってんだあの人。
なまえさんは南雲さんの頭を叩いてから俺に改めて向き直った。

「円堂くんにも聞いたの?」
「いや、他の人には聞いてないですけど」
「今、私達にだけ?」
「えぇ、まあ」

なまえさんはちょっと困った顔をしてヒロトさん達を見た。涼野さんはずっとだんまりで、南雲さんはまたゲームを始めて、砂木沼さんは難しい顔をしてヒロトを見ていて、そのヒロトさんは困ったように笑いながら俺を見ていて、緑川さんは「お菓子が無いか見てくるね」と慌てて部屋から出ていった。一体この人達に何が起こっているんだろうか。

「あの、なまえさん」
「マサキ、世の中には知らなくていいこともあるんだよ」

そう言って優しい手つきで俺の頭を撫でるなまえさんを見て何だか聞くのが馬鹿馬鹿しくなって、俺は黙って俯いた。この人達はいつになったら本当のことを話してくれるのだろうか。

悪いけど、全部知ってるんだよバーカ。



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Thanks:へそ
マサキ君は知ってるけど黙ってるイメージがあります。たまにヒロトさん達をからかう程度に仄めかす感じ。


2012.12.23

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