短編・企画 | ナノ
ハリポタ主(ジョージの場合)



「あ、蹴った!」
「えー、まだ1ヶ月だよ?さくらんぼサイズの赤ちゃんが蹴れるわけないじゃない」


先日、祖父に蔵から出してもらったロッキングチェアに座っていると、ジョージが膝を付いて私のお腹に耳を寄せてきた。

そう。
このお腹の中には、ジョージと私の子供がいる。



* * *



ここ最近体調が優れなくて、毎月欠かさず来ていた生理も遅れていて、可笑しいなーと思っていたところ、見かねた祖母が産婦人科を紹介してくれた。
そして、行ってみたら「おめでとうございます」と先生に笑顔で言われた。

妊婦なんて、生まれて初めてだったから訳も分からずで、、とりあえずジョージにメールしてみた。
びっくりするかな、と思いながらメールをカチカチ打って、送信した。



家に着いて祖父と祖母に妊娠してた!と言ったら、凄く喜ばれて「今夜はお祝いね」とニコニコな祖母に言われた。
その後ろでは、祖父が父や母、アルバスに連絡をしていて、その顔はとっても嬉しそうで興奮していた。

私としては、やっぱりママになったとか全然実感が沸かなくて、喜ぶ二人をどこか不思議に見ていたと思う。


「・・・ミヨ!」と、音を立てながら姿あらわしで現れたジョージ。
急いで来たのか、息を切らして肩で呼吸をしていた。
ぇ、仕事は・・と聞く前に、彼に抱きしめられた。



「・・・ジョージ、仕事はどうしたの?」
「相棒とロニに任せてきた。・・・それより、ミヨ、、僕らのベイビーは・・」
「うん!6週目だって!・・・うわっ」
「やった!俺も、パパになるんだ!!」


キラキラした笑顔で私を抱き上げクルクルと回り始めたジョージ。
凄く嬉しそうなジョージの表情を見て、私もママになるんだな、と少しずつ実感してきた。
回るのを止めて、私をゆっくり下ろすと、優しく抱き締めて私のおでこ辺りにキスをした。


ジョージが私と目を合わせて微笑み合えば、ジョージの頭にポカリと誰かに何かで叩かれた。

「いてっ・・」とジョージが後頭部をさすりながら後ろを向くと、私の父が丸めた雑誌を右手に持ち、今まさに叩きました!という姿勢で、ジョージを睨みつけていた。
その隣には、祖父も丸めた新聞で父と同じポーズをしている。

おそらく、二人で叩いたのだろう。



というか、父さん、仕事は・・!?


「流産したらどうするんじゃッッ」と言う祖父と、「まだ、安定期入ってないんだぞッッ!?」と頷きながら言う父。

二人の凄まじい剣幕で「・・・ゴメンナサイ」と小さくなるジョージ。

我が家の男性陣のそんなやり取りをみて、私と祖母は笑ってしまった。

姿現しでやってきたアルバスと、玄関から「ただいまー!」と言う母の声がして、

・・・みんな、仕事は・・?と、再び呟いたのは言うまではない。



* * *



「ジョージはどっちだと思う?男の子、女の子」
「最初は、やっぱり女の子がいいなー、ミヨみたいな可愛い女の子!」
「(最初は・・?)女の子は、パパに似るっていうから、私じゃなくて、ジョージ似になるんだよ」
「ぇ、そうなの?じゃあ、ジニーみたいな子か・・。ぁ、あと!俺は赤毛じゃなくて黒髪がいいなー・・、、 ミヨの髪好きだから」


と、私の髪を一房掬って私と目を合わせて微笑みながらキスをするジョージ。
無意識でやっているのか故意なのか、、、ジョージのこういう行為にいつもドキリとしてしまう。

私は、赤くなった顔を隠すようにして雑誌に視線を戻した。
ちなみに、先日母が買ってきた『たま●倶楽部』である。




「・・・ふーん・・、ミヨは欲求不満なんだね?」
「え!?なに言って・・」


ジョージが長い指でツンツンと指す先を見れば、丁度開いていたページが、


『妊娠中のセック・・』




ぇ・・・




「ち・・違ッッ・・!!」
「へー、、体に負担を掛けない“おすすめ体位”とか載っているね!」



私から雑誌を奪って「今夜、さっそく取り入れようね!」と、ニコニコと眩しい笑顔を見せながら言うジョージ。

しっかりページに折り目までつけてしまった。






ちょっと、マジで夜が来てほしくないなと思った日だった・・・・。
おわり


<あとがき&反省>
ジョージ久しぶり!
我が家の大人ジョージはこんな感じ




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