短編・企画 | ナノ
krk転生



私の人生、こんなはずじゃなかった。

・・おや?どこかで言ったっけ、この台詞??
まぁ、いいや。

マンションのベランダから落ちて死んだ私は、再び人生をやり直しているところだった。
長かった小学校も終わり中学に上がり、同い年で超可愛い私の従姉妹『桃井さつき』と共に男子バスケ部のマネージャーをすることに。
入部早々、あまりの仕事の過酷さに何度も辞めそうになった。というか、当初『男子バスケ部マネ部』と言われる程だったマネージャーの人数が、ひと月もすると私とさつきしかいなくなったから、ますます私が辞めることかできなくなった。

そして、キセキの世代とか言われるカラフルな彼らの面倒をきっちり見た三年間。
・・・長かった。
本当に長かった・・・。

夏から高校推薦の準備を着々と進めていた私は、一足先に高校に合格していた。
進路も誰にも教えていなかったし、というか、キセキの皆は私が既に高校を合格したなんて気がついてなかったと思う。
まぁ、主将には気づかれていたのかもしれないけれど・・。勿論、さつきちゃんにも口止めしてもらっていた。


高校の入学式も終わり、今日から部活の仮入部期間。
さて、何部に入ろうかな。
家庭科部とかないかな。
やっぱり、ひとり暮らしだし一人分て、ご飯作るのかなり面倒になっちゃうんだよね。
現在、両親が海外にいるために気楽な一人暮らしをしている私である。まぁ、もともと中身の年齢かなりいっているからね。こっちの方がかなり楽だったり。

うーん、家庭科部じゃなくても、手芸部とか何か文科系の部がいいな。
と、ルンルンで廊下歩いていると見覚えのある青い頭とピンクの頭をみつけた。

ぁ、ああああ青峰くんとさつきちゃん・・ッッ?!
なんで桐皇学園にッッ!!?

卒業まで黙っていたのにッッ!!
てか、桐皇てバスケ部強豪校じゃないじゃん!!

あまりの動揺にあわあわとしていると、こちらに気がついた2人が近づいてきた。
「おう」と悪魔な笑み(私にはそう見える)を浮かべる青峰くんと苦笑するさつきちゃん。
なんで・・!?と、さつきちゃんに視線を送ると、代わりに私の頭上から言葉が降ってきた。

「三四がどこの高校入るか分かんなかったからよ、担任に聞いたんだ。」

脅したの間違いじゃなくて・・?

「ごめんね、三四ちゃん。大ちゃん止めたんだけど、桐皇から推薦きちゃってたみたいで・・」
「まぁ、なんだ。これから三年間またよろしくな。」

終わった・・
私の楽しい高校生活が・・・
たった今、何かが音を立てて崩れていった気がした。

その後、(何故か)3人で行動を共にすることとなり校舎の外を歩いていると部活の勧誘を何回もされた。
特にさつきちゃんなんて、本当に高1!?な、プロポーション抜群で美少女ときたもんだから是非とも男子運動部のマネージャーに!!とかなりの声が掛けられていたと思う。
勿論、全て断っていたみたいだし。かなり人が集まってきたときは、身長192センチから繰り出される青峰くんの「うぜぇ」の一言で人々は離れて行った。

そういえば、青峰くんはバスケ部で推薦貰ったんだよね。
てことは・・

「そういえば、三四ちゃんは何の部活に入るの?」
「まだ決めてないよ!さつきちゃんは、やっぱり男バスのマネ?」
「そう。大ちゃんほっとくと何するか分かんないし」
「あア?なんだよそれ。つか、いい加減に大ちゃんやめろ」
「だってそうじゃない!現に中学の時私が居ないのを見て三四ちゃんをこき使ってたのは誰?」

そうなのだ・・・。
さつきちゃんは、並外れた能力を駆使していたために、マネージャーというより諜報部員としての扱いだったために、マネージャーの仕事(主に雑務)をしていたのは私だったのだ。
勿論、さつきちゃんには仕事も手伝ってもらっていたけれど、諜報の邪魔をしたくなかったから私がさせなかった。

加えて、レギュラーである個性豊かでカラフルな彼らのお世話。
特に紫と青と黄は・・。
紫は、お菓子を預けておけば大人しかったからまだいい・・。
黄色は、本人がというよりは(まぁ、いっつも引っ付いてきて迷惑だったのもあるが・・)、彼のファンたちが凄かったために『黄瀬くんとのお約束要項』を提示させたお蔭で割と円満な感じだったと思う。
しかし、青は、酷かった・・。
・・・うん、青峰くんなんだけどさ・・。

もともと、『さつきちゃんの幼馴染の青峰くん』と『幼馴染のさつきの従姉妹、三四』という関係だった私たちは、実は幼い頃からよく一緒に遊ぶ仲だった。家も割と近かったんだけど、小学校は学区が違ったために一緒になったのは中学校からだった。
そんな関係だったからか私は、青峰くんからよくからかわれて遊ばれていた。そして、それを見て怒るさつきちゃん。気が付くと、そんな図が自然と出来上がっていたと思う。
部活中でも学校生活でもいついかなる時でも私をコキ使う青峰くん。こっちはマネージャーの仕事で手が離せないっていうのに「(部活中に青峰くんが食べる)弁当はまだか」だとか「タオル早く持ってこい」だとか「ポカリは濃いめつったろ」だとか・・

お前の弁当とタオルは、お前の目の前だ・・ッッ!!つか、自分でやれ・・!!

・・・と、いうような毎日を送っていた。


あれよあれよという間に、男子バスケ部の前まで着いた私たち。
2人は、眼鏡の先輩とお話ししていた。
部長さんかな?

私はお邪魔だろうと、離れようとすれば、ガッチリと掴まれた私の右手・・・。

・・ぇ?

「今吉サン。こいつも男バスのマネージャーに入部すわ。」
「・・は?」
「これでも、さつきと帝光バスケ部のマネージャーしてたんで」
「そうなんです!私が他校へ偵察行って留守の時も一人でテキパキやっちゃうんだもん!!」
「・・・いいやいや、私は入らないよ?家庭科部入るんだもん!!」

さつきちゃんも何故に押せ押せなの・・!?と、いう視線を送れば「だって、折角同じ高校だし、また一緒にマネージャーやりたいじゃん♪」と、ニコニコと言われた。
あぅ・・、そんな笑顔も超かわいい・・ッッ!!

いつまでも青峰くんに掴まれた手を放そうとすれば、ますます強く握られた。
つーか、痛いんですけど・・!!

「あ?お前、俺にさつきの飯で死ねっつてんのか?入るよな、バスケ部」

と、脅されて私は桐皇学園男子バスケ部のマネージャーになることになった。
そうだよね、さつきちゃんのあの料理で3年間はキツイよね・・・。
ごめん、青峰・・。
君も必死だったのね・・・。




―――そして、あれから数か月・・・。
インハイのリーグ戦まで日数が迫ってきた今日。

午前の練習も残りあと僅か。
そして、今日も青峰くんはサボり・・・。

入部させた本人がいないとかって・・!!
マジ、腹立つ・・!!
中学の時はここまでじゃなかったんだけどな・・。

時間が来たので主将の今吉さんに伝えると「ほな、午前は終わりや!」と声がかかった。
午後練まで二時間の休憩。
シャワー行く人が沢山いて、入り口が混雑していた。
その間に一年生と一緒にモップ掛けしようと倉庫へ向かおうとしたら「三四ちゃん」と後ろから声が掛けられた。
この部の男子で私を名前で呼ぶのはただ一人。
主将である。

おかしい・・さつきちゃんを呼ぶときは『桃井』と苗字呼びなのに。なんで私だけ『三四ちゃん』とか・・。
うん、まぁいいか。

「はい、なんですか?」
「青峰と連絡とれたか?」
「いえ、まだですが。午後は来ると思いますよ。私が部室掃除するので」
「・・・三四ちゃんが部室掃除するのと関係があるん?」
「ええ。」

と、ふとあの汚い部室を思い出した。
果たして、半日で終わるのか・・。

「ぁ、主将!部員に私物は各自のロッカーにきっちり入れとくように言いましたか?」
「お、おん。伝えたで・・」

月一でやる私の部室清掃は、容赦無いほど私物を捨てることで有名だった。
勿論、帝光時代もそうだった。だから、中2の時、誤って青峰くんの私物の『堀北マイちゃんの写真集』を束で捨てた時は・・。
マジで殺されるかと思った。
おぉ・・今も思い出すだけで寒気が・・。
つか、みんな部室にバスケに関係のない物置くんじゃねぇよ・・!!

それ以来、私が部室を掃除するという日だけは、キチンと部活に参加する青峰くんの姿があったのだった。


昼食前に監督の所へ午後からのメニューを貰いに行った。
午後からは、試合形式か。さつきちゃんも戻ってくるだろうし・・。
・・・黒子くんは、今も元気にバスケやってるのかな・・

と、中学時代のチームメイトを思い出しながら体育館の扉をくぐるとバキィィ・・!!と、とてつもなく大きな音が聞こえた。
何事・・ッッ!?と、音の先を辿ると青峰くんがゴールリングを持って立ってた。

『ゴールリングを持って』??

・・・ぇ、なに持ってんの・・ッッ!?


視線を上げるとバスケのゴールにあるはずの肝心のリングがなかった。
つまりは、破壊したということだ・・。
・・・そもそも、あれは人の手で簡単に壊れるものなのか!?

思わずクラリと倒れそうになるも、なんとか踏み留めて青峰くんに近づく。

「青峰くん・・」
「おう、三四!つーわけで、じゃあな」
「は?ちょっと、練習は・・!?まだ、午後から練習あるんだよ?」
「サボりだよサボり。つか、これじゃ練習できねぇだろ」

リングをポイッと捨てて(凄い音した・・)床に置いてた写真集を取りに行く青峰くん。
ていうか、先輩らの前で堂々とサボり宣言してんじゃないよ・・!!

「あ、良の弁当全部食っちまったから、三四の弁当食わせてやれ。じゃあな。」
「はぁ!?」

・・憐れ、桜井くん。
ステージ上から「スミマセンスミマセン・・」と声が聞こえた気がした。
マイちゃんの写真集を脇に抱えて、体育館を去って行った青峰くんを見て、思わず重いため息をついた。
落ちたゴールリングを重いな・・と思いながら持ち、頭上の壊れたバスケットゴールを見上げた。
ステージから降りた主将が私の近くまできたのが分かった。

「これ、いくらするんだろ・・」
「さぁな。・・でも、ま、高いやろな・・・」
「ですよねー・・」





「桜井くん、これ食べて。青峰くんにお弁当食べられちゃったんでしょ。こんな時の為にお弁当は毎日大目に準備しているんだしいっぱい食べて!」(余計に2つ作ってる)
「え、いいです大丈夫です!俺、量少なくても大丈夫なんで!!そんな藤崎さんの美味しそうなお弁当俺一人が食べられるなんて絶対ダメです・・ッッ!!スミマセンスミマセン、俺が青峰さんにお弁当食べられてしまったから!生きててスミマセン、食べないと生きていけなくてごめんなさい・・」
「ぇ、あの・・桜井くん謝りすぎ・・」
「なんや、桜井。お前が食べないんなら、ワシらで食べてまうで」
「うまいぞ、藤崎。これ、お前が作ったのか?」
「ぁ、はい。私一人暮らしなので」
「凄ぇな・・おら、桜井。ちゃんと食え!午後から倒れちまうぞ」
「んぐ・・ッッ!!(おおお美味しい・・!!)」



<あとがき&反省>
私の中で黒バスブームが絶賛到来中でして、勢いに任せて書いてしまいました・・!!
ちなみに、青峰落ち、今吉落ち、桜井落ちと3パターンあります。
気が向いたら(まだ私の黒バスブームが終わってなかったら)それぞれ書きたいです。
ちなみに『もしも進学先が誠凛だったら』もあります。




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