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「さて、頑張りますか!」
「・・うぃー」


やる気なさそうな弟―ハジメ―の背中を押して、家の屋根に向かった。

季節は冬。
今年は、半端じゃない量の雪が降った為に、母の命令で私たち姉弟は屋根の雪下ろしにかり出された。
「宿題と家が雪で潰れるの、どっちが大事だと思っているの!?」なーんて、言われたら、従うしか無い・・。
まぁ、大学の課題を溜めていた私もいけないのだが・・・。
よく大学は、課題が出ない言うけれど、教科や教授によっては出たりするからあれは嘘だと思う・・。
いや、大学に寄るのかもしれないが・・・。

防寒対策をバッチリにして、スコップを持ってハジメと屋根に登った。
築ウン十年の古い家だから屋根の色んな所が錆びていて、ちょっと恐い・・。
今流行の『雪下ろしの要らない家』にとっても憧れる。
ちなみに、お隣さんの家は新しい家の為に、屋根の雪下ろしなんて言葉は皆無だ・・。

モクモクと屋根の下の方へ雪を積んでいく。
今日は、天気も晴れで割と暖かいから雪が溶けて固くなってきているんだね・・。
雪を掬ったスコップがマジ重い。

ちなみに、屋根の雪下ろしをする時は、10センチぐらい残すのがいいんだって!屋根が見えるまで綺麗にすると足下が滑って落ちちゃう事があるからね。
まぁ、残していても、滑る物は滑るんだけど・・・。

大体綺麗になってきたので、携帯で母に「今から下に雪落とすから来ないでね」と連絡して積んだ雪を落としにかかる。

「お、重ッッ・・」
「・・・はぁ、姉ちゃん、俺が代わりにやるから」

そう言って、私が手こずった大きな塊を軽々と落として行く。

おぉ・・、さすが、男の力は違うね!!
まだまだ小さいと思っていたハジメが(いや、身長は大分前に抜かれれたけれど・・)、大きくなったんだな〜とおばさん臭い事を思ってしまった。

うんうん、頷いていると「うわっ・・」と声がしてハジメが足を滑らせたのが分かった。
とっさに私のスコップを掴んだハジメ。私は、すかさず屋根の棟に置いてある紐を取った。ちなみに、この紐は、向こう側の軒から出ている物で、命綱のような物である。

尻餅をついたハジメが「せーふ・・」と呟いたが・・、残念な事に、非力な私は、身体の大きなハジメを支えられるような力は無い・・。
ヤバいかも・・て、目を閉じると、ガラガラと何故か崩れて行く足元。

ぇ・・

さっきハジメが滑って転んだ事で穴が空いたのだろうか?と、考える暇もなく、私とハジメは、


暗闇の中へと落とされて行った。




<あとがき&反省>
こんなトリップの仕方も有りでしょうか?





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