ハリポタ | ナノ
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祖父が魔法を掛けてくれたゲージ(端から見ると普通の鞄)にシキを入れて、私は玄関で靴を履いた。
夏休みももうすぐ終わりで、今日はイギリスへ出発の日である。

「三四、日持ちのするお菓子を入れておいたから、学校でお友達と食べなさいね。」
「わぁ!!おばあちゃんありがと!!」

このお干菓子美味しいんだよね。ぁ、あそこのお煎餅もある!!
早速、昨年マダムマルキンのお店で買った旅行鞄に入れていると、祖父から声を掛けられた。

「これを持っていきなさい。」
「・・・これは?」

祖父に手渡されたのは、普通に可愛い猫のキーホルダー。
シキを飼っているからなのか、よく人から貰うプレゼントとか猫グッズである。
うん、可愛いから凄く嬉しい。

「毎日、重たい辞書を沢山学生鞄に入れておるそうじゃの。アルバスに聞いたぞ。」
「・・・・あはは・・・」

だって、仕方ないじゃない。
辞書はないと困るし、、

「このキーホルダーはの、鞄に下げるだけで、重い荷物も軽くなるんじゃよ。」
「へぇ・・。ありがとう、おじいちゃん」
「頑張るんじゃぞ!!」
「身体に気をつけるんだよ。」

そして、私と父は、空港に向かい、飛行機でイギリスへと向かった。
ちなみに母は、仕事で一足先にイギリスにいたりする。







* * *






「三四!!こっちよ!!」
「ぁ、おかあ・・・ママ!!」


危うく『お母さん』と言ってしまう所だった。
長い飛行機での旅で疲れてしまったけれど、イギリスの空港に着き母を見つけた私は、母にハグをした。

・・・いや、母にハグされた。


「あーん、三四に会うのは久しぶりだわ・・・。」


あははは・・
まぁ、母は相変わらずバリバリの仕事人だからね。

「お疲れ様、小春。」と言いながら、私のトランクを持った父がやって来た。
ちなみに父の荷物は、コンパクトでもの凄く身軽である。
私の新学期の準備が終わったらまたすぐに帰ってしまうんだと。

こっちもバリバリの仕事人だね。


「あれ、お前何時の飛行機に乗るんだ?」
「もう間もなくよ。」


母は、次の日本行きの便で先に日本へ帰るんだとさっき飛行機の中で父に聞いた。
私から離れた母は、父とハグをしてキスをしている。
・・・相変わらずラブラブですな・・・。


「藤崎さぁーん!!困りますよ・・ッッ!!待合室で待っていてくれなくちゃッッ」


遠くから走って来たのは、ウチの両親より少し年が若い(と思う)メガネを掛けた女性だった。
日本語でペラペラ話しているけれど、見た目は金髪+碧い目の外国人である。
父と知り合いなのか、彼女を見て手を挙げていた。
それを見た彼女は、ぺこりと頭を下げていた。


「えー・・せっかくの、パパと三四との再会なんだからもう少し・・」
「さぁ、行きますよ。スミマセン、藤崎さんのご主人。一足先に奥様を連れて日本へ帰りますね。」
「・・ああ、お願いします。」
「じゃあね、三四ちゃん!学校頑張って!!」
「ぁ、はい・・。」


一体誰なんだろ?と不思議に思っていると、父が「母さんの仕事の後輩だよ」と説明をしてくれた。
なんでも、5カ国語をペラペラ話す期待の新人らしい。

5カ国語・・!?
英語だけで手がいっぱいな私はまだまだだと言う事ですか・・。
そうですか・・・。


「いやぁぁぁー・・!!」と、泣き叫ぶ母の襟首を掴み、ズルズルと引き摺る彼女。
いつも賑やかな空港内が、一瞬静かになった気がした。







* * *






「やあ!いらっしゃい」
「トムさん久しぶり。」
「こんにちは」


カウンターでグラスを磨いていたトムさんに挨拶をして、父は、トムさんから今日宿泊する為の部屋の鍵を貰っていた。
今回は、父と同室である。

部屋に向かう途中、父はお店で飲んでいる人たちに沢山声を掛けられた。
内容は、いつもの様に「ナツは元気か?」「まだくたばらないのか、あの爺」と言う感じで、相変わらず私の祖父は有名人らしい。

部屋に着くと、私は直ぐにシキを鞄から出した。


「さ、シキ。長旅お疲れさまー」
「ニャー」


そして、シキは、ベッドの上で伸びをしてから寛ぎ始めた。
いくら祖父が細工した鞄に入っていたと言っても、ずっと外に出られなかったのだ。さぞ疲れた事だろう。

おっと、そのベッドは父さんが使う予定・・・て、まぁいいか。



「さて。もう夕方だし、教科書は明日買うか・・・。」
「はーい。」





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