もぐもぐ
もぐもぐ
おばあちゃんのくるみ餅美味い。
どうやら私は、気がついたら2歳児(ぐらい)だったようです。
思う様に喋れないし、舌たらずだし、視界がとっても低いし・・地面が近いし。
うん、確かに幼児だ。
呼ばれた時も思ったけど、名前も名字も前生きていた時と同じようです。
(茶の間のテーブルにあった郵便物を観て名字を知りました。)
「おかわりいるかい?」
「うん」
「三四は、くるみ餅好きじゃな」
「うん!」
そして、両親は共働きのようだ。
よってここの私は、自然と祖父と祖母に育てられているらしい。
くるみ餅を食べ終わってから私は祖父と祖母をじっとみていた。
祖父は、ドライバーとかペンチとかを持ってカチャカチャと何かを作っていた。
それが何なのかは、ちょっと分からない・・
食器を片付けた祖母が茶の間に戻ってくると「すみません」と知らない声が後ろから聞こえた。
「はーい!」と祖母が私の座っている後ろの戸を開けて、お店へと出て行った。
どうやら、家は薬屋さんみたい。
お家と繋がっているような町の薬屋さん。
ひょっこり顔を出していたからか、お客さんから「あら、三四ちゃん、こんにちは!」と声を掛けられて「こんにちわ」とお辞儀しながら答えると、お利口さんね、とお菓子を貰った!
チョコレートだ!!
・・・・なんだか、外見が幼児のせいか、中身(20代のはずなのに・・)も幼児化している気がする・・
「ありがとう!」とまたお辞儀をして再び茶の間に戻った。
だって、長い事居ても接客の邪魔になりそうだしね・・。
それから私は、家の廊下を歩いて、色んな襖を開けたりして、部屋を見て回った。
・・・なんと言うか、純和風の家である。
殆どの部屋が畳だし・・。
だけど、1室だけ洋間があった。
お、珍しい!と思ったのは、暖炉があったこと。
しかもまだ使っているみたい。
茶の間に戻ろうと足を向けた時、
「ただいま戻りましたー」と大きなトランクを持って、お土産を祖父に渡す女性ー恐らく私の母である人ーが見えた。
「イギリスはどうじゃった?」と祖父が聞いている。二人の会話を聞いていると、どうやらこの私の母は、通訳士さんのようで、お客さんに呼ばれると海外まで同行しているらしい。
お客様からも人気で、いつも指名が来るのだと。
まぁ、とりあえず・・
「おかあさん、おかえりなさい」
「・・・!!」
「?」
「なんでママて呼ばないの!?」
・・・・間違えたようです・・
「(・・ぇー、ママて、前の人生で一度も呼んだ事ないしー・・)」
「三四、何度も言っているけれど、これからの時代、共通語は英語よ!せめて、今から少しずつ喋れるぐらいになりましょうね」
「(ぇー・・、英語苦手だし・・)」