パタパタと列車の廊下が騒がしくなって来た。
父に言われた通り、早めに席に座っていて正解だったな、と、視線をゆっくりと手元へ戻した。
シキは、先ほどと場所を移動して荷台のトランクの上で静かに眠っているようだ。
しばらく本を読みながら英文を口ずさんでいると、ガラガラとコパーメントの扉が開いた。
「ここ、あなた一人かしら?コパーメント空いている所が無くて、良かったら一緒に座ってもいい??」
「は、はい・・!!」
緊張で立ち上がって、持っていた『イギリス英会話』を落としてしまった。
「ありがとう」と、目の前の美人さんはコパーメントの中に入ってきた。高い荷台に難なく荷物を置き(ぇ)、わたしの目の前に座った。
・・かわいい・・
フワフワな髪の毛!
お目め青い!
青い瞳に吸い込まれそう・・
お人形さんみたいで、本当、綺麗な子・・
「私、アリシア・スピネット!アリシアでいいわ、宜しくね!!」
ありしあ・・と、頭に刻む様に小さく呟く。
「あなたのお名前は?」
「私は、ミヨ・フジサキです!宜しくお願いします」
「よろしく!ミヨ、て呼ぶわね!!・・ミヨは、中国人?」
「いいえ、日本人です。英語がそんなに得意でなくて・・」
そうなんだ!と、アリシアの口調が穏やかになった。
その時、汽車の大きな汽笛が鳴って、もうすぐ発車のなんだなと思った。
「ミヨも、私と同じ1年生よね?良かった、先輩のコパーメントとか恐くて無理だったもん」
「アリシアも1年生なの?」
「ええ!」
・・それにしては大人っぽ過ぎる気が・・、、
「すみません・・、どこも空いてなくて、良かったら相席してもいいかしら?」
「ええ、勿論いいわよ!ね、ミヨ!!」
「お、おーけー!!」
と、今度は、黒人の女の子が入ってきた。
背が高くて凄く大人っぽい・・。
「私、アンジェリーナ・ジョンソン。ホグワーツは今年からなの!宜しくね」
「私たちも1年生よ!アリシア・スピネット!よろしくね!!」
「よろしく!」
「わたしは、ミヨ・フジサキです!宜しくお願いします!!・・・んと、あんじ・・」
流暢すぎて聞き取れなかった・・
「アンジーでいいわ!宜しくミヨ!!」
「うん!よろしく!!」
「じゃあ、わたしもアンジーて呼ぶわ!!」
「アリシア、ありがとう!!」
女の子のお友達が出来ました。
「車内販売よ〜!お嬢ちゃん達、何か買って行くかい?」
「はーい!」
「私も買うわ!!」
「(うぉぉ、なんか、変なお菓子がいっぱい・・)」