aoex | ナノ
青エク転生-卒業式-



祖母も母も着たという、ちょっと「タンスに●ン」臭い着物と袴、
成人式の時に、祖母に買ってもらった着物用のバックと草履、、
そして、私の今の現状・・・


「ちょ・・、化粧濃すぎじゃないですか・・?!それに、頭も盛りすぎ・・・」
「こないなの盛った内に入れへん!あんた、いつもさっぱり化粧しいひんし・・!それに、せっかくの袴に負けてしまうわ・・ッ!!」
「だからって・・」
「三四は、元が良いからね。あなた、今日は注目の的よ!!」


祓魔師の先輩2人にウィンクされながら、そんなことを言われ、私は思わず黙ってしまった。

本日は、私の大学の卒業式。

私は今日、、
6年間通い続けた、この大学を卒業する。

・・・めっちゃ、不本意だけどね・・








会場の席につき、はぁ・・と、溜め息をつきながら、今までの楽しかったキャンパスライフを思い出した。

できる事ならば、もっと大学にいたかった・・・

しかし、試験が受けられなくて博士(ドクター)になれなかった私には、もはやどうすることもできない。
名前を呼ばれた私は、卒業生代表の答辞を言うため壇上に上がった。

・・・何もさ、院生に言わせる必要無くないかな?

四年生に譲るとかしないのだろうか、、




* *




「三四先輩・・!先輩の答辞、最高でした!」
「ぁ、ありがとう」
「一緒に写真撮って貰ってもいいですか?」
「いいけど・・・」
「ぁ!俺も!!」
「ずるいやろ、自分!先輩、自分もええですか?」
「う、うん。。」
「先輩の袴姿、超ステキ!!」
「ウチら、シャッター押しますね!!」
「ぁ、うん、、お願いね、、」


授業で仲良くなった4年生たちに囲まれながら、苦笑を浮かべて一緒に写真を撮る私。

・・・時間、大丈夫だろうか。
実はこの後、写真館を営んでいる祓魔師の先輩のお店で記念撮影が待っているんだが、、
なんかね、私の祖母がキチンとした写真を残したいらしくて・・・

昔から、祖母のお願いは断れないんですよ・・

時間は気になるが、後輩たちを放ってはおけなくて、取りあえず今は考えないことにした・・・。

しばらくして、会場の入り口の方がなにやら騒がしくなり始め、、
その騒ぎが、こちらに近づいてきているのが分かった。

なんだ?あの黄色い悲鳴は・・?
この大学に芸能人でもいたのだろうか・・??


「三四#先輩!このあと、ウチらゲーセンでプリ撮って、夜に打ち上げでカラオケ行くんですが、先輩も来ませんか?」
「先輩、いつ誘っても研究が忙しいみたいで、、全然遊んでくれなかったじゃないですか!!」
「ね!行きましょ!!俺、先輩とプリクラ撮りたいな!!」


確かに、研究楽しくてコンパ的な付き合いとか全然参加してなかった。
ぁ、あとエクソシストの仕事もあったからな・・、時間がなかったんだよね。。
最後ぐらいは、一緒にカラオケ行ってもいいかなー、と思ったけど、写真館が何時までかかるか・・
取りあえず、ゲーセンでプリクラは無理だろ・・・

それに、その後は、エクソシストの仕事が待っているだろうし・・
今日は、夜勤なんだ・・・。
ぁ、じゃあ、どっちみち無理か・・・。

中二級に昇級してから仕事が倍になったのは言うまでもなく、、
つか、皆して私に仕事押し付けすぎなんだよね・・!!


「ぇーと・・」


さて、どう断ろうかな・・と、視線を斜め上に上げると視界に入った見覚えのある金色の髪・・

ぁ、あれは・・


「・・おぉ、えらい美人になっとっる・・、三四姉や、な・・?やっと見つけた、こっちや柔兄!!」
「やっぱり、金造!!なんでここに?!」


と、金造が柔造を呼んだ方を見ると、珍しく法衣姿ではない私服の柔造がいた。
あれ?柔造は今日非番だっけ?
でも、金造は法衣姿だけど・・
仕事抜けてきたのか・・?


「・・・・・」
「ん?柔造、どうしたの?」


目も口も開けてポカンとしている柔造。
なんだろ、また変なんものでも食べたんだろうか?
「しっかし、えらい変わり様やわ〜」と、私の事を上から下までニヤニヤした顔で眺める金造にムカッときた私は、草履の踵で金造の足を、力を込めて踏みつけた。

雄叫びを上げて足を擦る金造をザマミロと見下ろすと、目の前が綺麗な花いっぱいに埋め尽くされた。



「ぇ?」
「・・・卒業、おめでとうさん。」
「柔造・・?」
「なんや、今日の三四、、近くで見ると、またえらい綺麗で、見惚れてしもうたわ・・」


視線を上げれば、珍しく少し頬を赤らめ真剣な眼差しで私を見る柔造。
そんな表情で私に花束を差し出してきた。

ぇ、な、、何・・!?

見慣れない柔造に、戸惑いながら花束を受け取りつつも、、
つられて、私まで頬に熱が集まるのが分かった。
しかし、真剣な眼差しも一瞬で、すぐにいつもの柔造スマイルに戻ってしまった。
「三四姉ー、、俺が悪かった・・、堪忍やー・・」と、金造が後ろから抱きついてきたので、いつものように適当に頭を撫でておいた。


「そや、もう時間が・・、表に修ちゃん待たしたはるんやった!!」


“修ちゃん”というのは、写真館を営んでいる祓魔師の先輩。
ということは、皆で迎えにきてくれたのか。


「つーわけで、三四はこれから予定入っとるからな。堪忍してや?」
「・・は、はい・・」
「ウチらは、全然おっけーですから・・・」
「そんなー・・、、」
「あないなイケメン相手なら、しゃーないやろ」


柔造の笑顔にノックアウトされた女子達は、目をハートにさせて「かっこいい・・」と口々に呟いていた。
確かに(一瞬不覚にも)カッコいいと思ったけれど・・・

「三四姉行くで!」と、金造に空いている手を引かれて、私を支えるように柔造が背中に手を回して車へと向かった。

「三四のばあちゃん、先に修ちゃんの店に送ってきたさかい」と修さんの車に乗ってから柔造に言われた。

この袴姿、実はまだ祖母には見せていない。準備と移動のせいで、朝早く出てきたから。

喜ぶかな?と少し表情を崩しながら考えてると、柔造が私の耳に口を寄せて、「あとで、俺も写真とってもええか?」と聞いてきた。


「誰の?」
「三四の!せっかくやし」


意味わからん、と言うと柔造が「早う、修ちゃん家着くとよろしいな」とニコニコしながら言った。


なんだか、今日の柔造はごきげんだな、と思い、私は窓の外を見た。



<おまけ>
「柔造。式典の三四の写真は撮ってくれたかい?」
「おぉ、三四のばあちゃん!着席から答辞、最後の修ちゃんのとこまで完璧や!!」
「・・・ぇ?何!?柔造、最初から居たわけ?」

・・・・だから、私服だったのか・・

「当たり前や!ちゃんとビデオカメラでも撮ったさかいな。あとで皆で見ような、三四」(にかっ)
「・・・・」(←呆れている)
「三四姉、柔兄は昔からそうやから、気にしとったらあかん」

・・・金造も大変だったんだね・・・
次回は、心を込めて撫でておこ・・








<あとがき&反省>
ちょっと、不完全燃焼でした。。orz
本当は、『柔造VS後輩のメンズ2人』とか書いてみたかったんだけど・・・かなり長くなりそうだったので、カットしました←
それでも、結構長いですよね^^;
あと、最後の車内では、金造は助手席に乗ってます。描写かけなかったな・・

今回、「関西弁変換システム」と「京都弁に変換」を使用してみたんですが、、どうでしょうか?(汗)
生まれも育ちも北の田舎なので、リアルな関西弁とか聞いたことなくて、、変換使っても相変わらず偽物で申し訳ないです。。

今回の話は、友人の葉月さまに『卒業式・袴姿の主にドキりとする柔造』とリク(?)頂いていたので、頑張ってみたのですが、、、
でも、リクエストって相変わらず難しいですね。。
(みんな凄いな・・)
いつか、気楽にリクエストとか募集できたらいいな〜^^

まずは、素敵リクありがとうございました!!
葉月さまのみ、お持ち帰りokです。




- 5 -


[*前] | [次#]
ページ:



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -