aoex | ナノ
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まず正十字騎士團日本支部にきてさせられたことは、中一級への昇級試験であった。

・・・・うん、無事に合格しましたとも。

試験勉強なんて全然やってなかったけど、合格したのだからなんとかなったのだろう。
というか、着いて早々に試験とか・・・
メフィストめ・・・

それから、湯ノ川先生の元へ挨拶へ行ったとき、私の父の遺品をもらった。
実は、湯ノ川先生は私の両親の同期であり友人でもある。
なんでも、私が祓魔師になった時に渡してくれ、と頼まれていたようである。

遺品は『注射器の形をしたダーツの矢』であった。

父は竜騎士と医工騎士の資格を持っていたので、これを使って現地でも活躍していたとか。
(ちなみに母は、医工騎士である)

てか、何故にダーツ・・?!
竜騎士の基本である『拳銃』じゃないんだ・・・

そういえば、幼い頃の記憶でも私の父は昔からどんな的でも外したこと無かったな・・・。
(例えば、お祭りの射的とか、輪投げとか、当然ダーツもだけど)
現にそんな血を引く私も的を外したことはない。

まぁ、せっかく父が私の為に残してくれたのだから、使いこなせるようにだけしておこうか。
(果たして、竜騎士の資格持ってない私にそのような出番が来るのか謎であるが・・・)


そんな訳で、こっちに来てからは祓魔塾と任務と訓練施設、与えられたら宿舎を行ったり来たり。
宿舎に、帰ったらひたすら惰眠。
時間がきたら任務。
呼び出されたら祓魔塾。
時間が空いたら訓練。
そして、任務・・祓魔塾・・訓練・・任務・・任務・・任務・・


ナニコレ・・

労働基準法はどこに行ったの?
というか、人足りてないんですが?!
派遣された人数、私の他に2人とかなんの冗談ですか?!!
ちなみに、その2人は現在、現場最前線で仕事中である。
(医工騎士て体力ゼロの人多いんだけどな・・・)
(わぁ・・大変そう・・・)


眠くて仕方がない頭を必死に振って何とか覚醒させながら、私は湯ノ川先生からの頼みで、授業で使うプリントを教室に置いてくる仕事を遂行中であった。(めっちゃ雑用ですよね!!)
これが終わったら、戻って任務に行って・・ヤバい、身体持ちそうにないかも・・、せめて訓練時間を減らそうか・・、いや、あと少しでコツを掴めそうなんだけど・・・、やっぱり薬品入ると重くなるから上手に矢が飛ばないんだよね・・と、考えながらと祓魔塾の廊下を歩いていると、突然背中に何かが体当たりしてきて前に倒れそうにになった。

というか、倒れた・・

さっき一瞬「三四姉!!」て聞こえた気が・・
気のせ・・

「やっぱり、三四姉さんやわ」
「なんや、三四。ここにおったか」
「三四姉三四姉!!あぁ、この、においこの触り心地・・久しぶりやわー」
「・・・変態や」
「・・・変態ですわ」

・・・じゃなかった。
何やら懐かしい幼馴染たちの声が聞こえてきて視線をあげた。

「ぁ、子猫くんに、廉造、久しぶり!!そして廉造、いい加減にしなさい」
「お久しぶりです、三四姉さん」
「あぁぁ・・この締め付け具合、本に久しぶりやわぁぁ・・」

可愛い子猫くんに笑顔を向けつつ、背後から体当たりしておいて私の胸を揉み、しかもにおいを嗅ぐという変態行為をした廉造にはコブラツイストをかけておいた。
それでも、『悦!!』という表情を崩さないのだから・・もう少し力入れておこうか・・・。

「三四も正十字学園来とる言うてたのに、さっぱり会えへんからな。皆で心配しとったんや」
「・・・・」
「なんや、そんなに忙しいんか?」
「・・・・・・・」



えーと・・・
その声はもしかして・・・・

「・・・竜二く・・ん?」
「おん」


ヒゲ・・・
トサカ染色・・・
ピアス・・・


「・・・ぁ、高校デビューてやつですか・・・」
「いうなやッッ!!」


う・・うん、私は反対しないよ!!
だって、そういうのって個人の自由っていうし・・・。
ただ・・おばさま(竜二くんのお母さん)は、知っているのかしら・・・?

ちなみに、廉造のピンク頭は知っていたから特にツッコミはしません。
(メールで自写した画像添付してきたからね。)


私は、柔造たちみたいに竜二くんのことを「坊」とは呼ばない。
かといって、蝮たちのように「竜二さま」でもない。
一応、京都出張所勤務ではあるけれど、私は明陀宗ではないから。

おっと、思考を飛ばしすぎたか、



「ホント、こっち来てから忙しいのなんのって・・・毎日、仕事仕事仕事・・」

散らばってしまったプリントを拾いながら、はぁ・・と、ため息をついた。
「大変そうですね」としゃがんで一緒に拾ってくれる子猫くんにお礼を言いながら、ポケットに入れていた飴をあげた。
いつ食事できるかわからないからね。いっぱい入れているんだ。
全て集めたプリントの枚数を確認しながら立ち上がり、竜二くんと廉造にも飴を上げた。

「おーい!」と後ろから声がかかったので振り返ると「奥村燐」くんが手を振ってこちらに駆けてきた。
あれが噂の奥村くんか。
職場でもかなりの「問題児」と話題になっている。

近づいてきて、三人とじゃれ合うようにして挨拶をする。
こうしてみると、普通の男子高校生だな。
・・まぁ、実際に高校生なんだけど・・。

一緒にいる私に気が付いた彼は「誰だ?」とでも言うような視線を私に向けてきた。

「私は、藤崎三四。中一級祓魔師で4月から正十字学園に派遣されてきたの。3人とは小さい頃からの幼馴染だから、3人共々よろしくね」
「!!お、俺は奥村燐だ!!よろしくなッッ!!」

笑顔で手を差し出すと奥村くんもパァァ・・!!と顔を輝かせて手を握りブンブン上下に揺らしてきた。

なんか、かわいい・・
尻尾があったらブンブン振っているなこれは・・

ポケットの飴をあげて「一緒に教室まで行こうか?」と言って私たちは喋りながら教室へ向かった。
4人の話題に耳を傾けながら、チラリと奥村くんを盗み見した。
かなりの問題児と聞いて、もっと恐い人を予想していたけれど・・・


なんだ、普通にいい子じゃないか。



<あとがき&反省>
久しぶりの更新・・!!
久しぶりの為か、なかなか文章がまとまらなくて苦戦してしまった・・!!
後で修正する予定です・・・




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