aoex | ナノ
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4月からは東京。
派遣で期間は、約半年だとは言っても
いつ京都に帰って来られるのかわからない。
(フェレス卿のことだから)気が変わって、今年一年と言われるかもしれない。
うん、十分あり得る・・

自室にある私が集めたお酒や自作の日本酒たちは、東京へは持っていけない。
だって重いし・・・、これ以上自分の荷物増やしたくないんだ・・

だから、今夜ぱーっと飲むことにした。
1人で飲むのには量が多いし、一人酒というのもどこか寂しかったから、ちょうど夜勤なしで明日が休みの柔造を誘った。
本当は、金造も誘ったんだけど、明日はバンドの練習あるからといわれて断られてしまった。

蝮たちも呼びたかったんだけど・・
柔造がくるから呼ばなかった。
・・・昔からなんで、あんなに仲悪いのか・・


今日は、祖母も町内会の旅行で明日の夕方に帰ってくる。
のんびり飲めるぞ!と、ニマニマしながら、簡単なつまみの作成に取りかかった。


そろそろ、柔造が来る頃かな?と、時計を見ながら自室へ向かった。
ガラスケースにある私のコレクション。

今夜は、飲んじゃうんだからね!
さぁ、集まれ私のお酒達!!
セレビシエ達が「飲むの?」「解禁??」と、言うなか私はニヤニヤと頷きながら籠に入れていく。
ぁ、

この高かったワイン(未開封)は、フェレス卿へのお土産にしよう。自分じゃあもったいないと思って飲めないだろうし。

んで、こっちは、恩師たちの分!
特に湯ノ川先生には、大変お世話になったしな!!
あとで、梱包して荷物と一緒に宅急便で送らなきゃ。

そして、こっちの銘柄の日本酒は、八百造さんのお気に入りだから、プレゼントしよ。


今夜飲む酒と、お土産のお酒を分けて、少しずつ片付いていくガラスケース。
いやー・・ホント、よく集めたな・・・。

日本酒を籠に入れて少しずつ居間に運んでいると、ちょうどやって来た柔造に「重たいもの運ぶのは男の仕事やろ!!」と、酒を入れる籠をひったくられて、私の自室へと行ってしまった。
後は、柔造が全て運んでくれた。

しかし、何故私が怒られなければいけないんだ・・!!






* * *







「乾杯!」
「かんぱーい!!」

カチャリと徳利をぶつけて、一気に日本酒を煽った。

くぁー!!やっぱり、自作の酒は美味い!!
これは上手にできたな。
後で、八百造さんのお土産に追加しておこう。


酒も進んできた頃、少しほろ酔いの柔造が熱燗を傾けながら呟くように言ってきた。

「・・・こんなことになるなら、もっと早くしとればよかったな・・」
「何が?」
「俺の一番隊に三四を入れようとしとったんや。」
「ぶはっ・・!!・・・げほ、げほ…」
「なんや、大丈夫か?」

咽る私の背中を擦る柔造。

マジか・・
柔造の中でそんな計画が・・・
というか、一番隊だなんて私には無理・・ッッ

それを聞いて、東京への話を受け入れて良かった気がした。
だって、柔造のいる一番隊ってむちゃくちゃ忙しいって聞くもん・・!!
(つか、忙しいのは隊長である柔造が仕事を押し付けてるとか噂があるのだが・・)

それに、戦闘では最前線に着くし・・・
無理無理・・!!
咽せりを紛らわすように、酒を傾けて一気に煽った。
コクリと、喉を通り、はー・・と息を吐く。

そんな私を見ていたらしい柔造が、ぼーっとこちらを見ながら「せや!」と何かを閃いたかのように再び呟いた。

「なら、俺と結婚でもするか?」
「はぁ!?・・どうしてそうなるの・・」

気を紛らわすようにグビグビといつもより早いペースでグラスを傾ける私。

「・・三四を東京に行かせとうないからな」
「・・・・・」

急に真剣な表情になった柔造に思わずドキリとした。
ただでさえイケメンの部類なんだから、いきなりそういう顔をするのは反則だと思う。
空のグラスに酒を注いで、私は一気に煽った。

「なんなら、今からでも『既成事実』作るか。」
「・・・きせーじじつ?」

さっきの一気でだいぶ酔いが回ってきて、頭がグラグラとしているのが分かった。
柔造が何か言っているけど、言葉を繰り返すのが精一杯で・・・


私の意識は、そこで途切れた。




* * *





チュンチュンという雀の鳴き声で、意識が浮上してきた。

あれ・・・?
どうしたんだっけ・・??

ズキンと痛む頭を押さえながら、起き上がると、体にかかっていた掛布団がずり落ちた。
よくみると、敷布団も敷いてある。

隣の座敷から出したんだっけ・・?
なんか、もう記憶がない・・。
ここまで飲んだのは初めてだな・・・。

と、頭を掻きながら隣を見ると、こちらに腕を伸ばしてグーグー寝ている柔造がいた。


・・・・・裸だ・・・
・・・ぇ?

一瞬で二日酔いが吹き飛んだ気がした。

「わ、私は!?」と自分の恰好を見ると、下着だけ身に着けていた・・・。
パンツも穿いていた。
心配になって、柔造の布団をめくったけれど、ちゃんとズボンを穿いていた。

身体にも気だるいとかないし、布団に血も付いてないし、、どうやら事を起こしていないようで、安心した。


私は、顔洗ってこようと立ち上がろうとしたが、腰に巻きついた腕がキツクなって動けなくなった。

「・・・柔造・・?」
「なんや、三四。どこいくんや」
「・・顔洗いに行くの。あと、昨日そのままで寝ちゃったみたいだし、片づけて朝食作んなきゃ」
「んなもん、後ででええやろ」

もう少し寝かせろ、と私を引っ張ってガシリと固い胸板に押し付け、抱き枕にした柔造。
少しして寝息が聞こえてきた。

こういう状況て、少女漫画でもたまにあるシーンで・・普通は、ドキドキしたりするのだと思うけども・・
私は、別の意味でドキドキしていた・・・


いつものことだが、寝起きの柔造はすこぶる怖いのだ・・・
さっきも、目が座っていて・・



超怖かった・・・。



その数分後、蝮、錦、青と金造が何やら言い争いをしながら我が家に(勝手に)入ってきて、毛布にくるまった私と半裸の柔造を見て蝮たちが取り乱したのは言うまでもない・・

「なッッ!!なんてお姿で三四姉さまッッ!!」
「なんで志摩家の猿と!まさかッッ!」
「三四姉さまが!汚れたッッ!!」
「じゅ、柔兄まさか・・」

「朝から煩いなお前ら」
「はぁ・・(なんで玄関の鍵かけなかったんだろ・・)」




<あとがき&反省>
「連載ぽいもの2」です!
中編に昇格させようかと計画中。
原作沿いで、京都編までで終わる予定!多分、主キャラとはあんまし関わらないかも。書きたい場面だけで結局短編で終わるかも…(予定は未定です☆)





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