無題 | ナノ
19歳



店主とおかみさんと出会った日、、


それが私の誕生日だった。


私がもうすぐ20歳になる頃、何やら北の方で大きな戦が始まるらしい。
「しばらく帰れなくなりそうだな・・」と昨夜の晩御飯で寂しそうにそう口を漏らした仲権。
最近、帰りも遅かったから、恐らく戦の準備だったのかもしれない。



それから何日かが過ぎて、とうとう仲権が出発する日を迎えた。
玄関先でいつものように抱きしめられて、頬にキス。でも、この日はなんだかいつもと違っていて、私の顔を見てまたぎゅっとさっきよりも力強く抱きしめられた。


「・・・仲権・・?」


どうしたの?と、少し離れて聞こうとしたら、それよりも先に仲権が顔を真っ赤にさせて、私から視線をずらした。


「・・っ、三四!戦から帰ってきたら、俺の子を産んでくれないか・・!!?この戦が終われば、俺も出世する。・・姜維が約束してくれた。」


今度は、私と目を合わせて、緊張気味の表情を少し和らげながら、私の頬を触れてきた。


「だから、戦から帰ってきたら、、俺と子作りしよう!!」
「ぶふ・・」
「・・人が真面目に話しているのに、お前は笑うのか・・・!?」


両手で私の両頬をひっぱってグリグリしてくる仲権。少し痛いけれど、そこは手加減してくれているらしい。
「痛いよー」と言えばすぐに離してくれた。

そもそも、私たちはもう夫婦なんだから、別にすぐに子供を作ったって良かったのに・・。
なかなか手を出さない仲権を不思議に思っていたけど、我慢してくれていたんだね。

「じゃあ、元気な子、作らなきゃね」と、仲権の口に軽くキスをして、目をまんまるにした彼をそのまま(門でずーっと待っていた)馬まで押して、見送りをした。


顔を真っ赤にさせて「子作り宣言」した仲権をまた思い出す。
私は、なんだか凄く嬉しくてにやける顔が止まらなかった。




仲権が戦に出てしまってから、何日かが過ぎた。
私は、いつものように馬の世話をしていた。

家の門のところで馬の蹄の音がして「お客さんかな?」と思い、(途中でお世話を止めるとこの子が怒るので)馬に頭絡をつけて、一緒に門のところまで連れて歩いて行った。

最初に見えたのは、とても綺麗な立派な馬。

その馬から降りたのは、、




「・・・・ぇ、司馬昭・・?」
「よ!久しぶり、三四姉!!」




幼い頃、一緒に過ごした司馬師の弟、司馬昭だった。




「・・・ど、どうしたの?司馬昭・・こんなところに・・」
「それはこっちの台詞。三四姉が居なくなってから、あの店・・というか魏は大変だったんだ・・。何気に、ほら。あの店て色んな所に発注してただろ?店主も従業員もみんな困惑して・・」
「それで、お店はどうなったの・・!?」
「・・ぁあ、、なんとか店は取り持って、今は店主もおかみも引退して隠居生活をしているって。店は、従業員の一番優しかったおじさんが継いでいるって聞いたなー・・」
「そっか・・・」


少しだけホッとした。
もし店が潰れたなんてことになったら、私のせいだ・・。
そして、私はなんだか無性に魏に帰りたくなった。


「なぁ、三四姉。店もそうだけどよ、兄貴がさ・・ホント手におえないぐらい取り乱して、、あん時は本当に大変だったんだー・・」
「・・・子元が・・?」
「そう・・・。まぁ、最近俺が王元姫と調べてなんとなくわかってきたけどよ。三四姉を誘拐したのは、夏候尚の娘で兄貴の夫人の夏候徽。彼女の差し金だって話。」


司馬師の夫人・・それは、つまり司馬師も妻を娶ったということ。
・・・なんだ、あれだけ私の事を「妻になれだ」の「覚悟しておけ」だの言ってたのに、、まぁ、私も仲権と夫婦になったし、二人とも大人になったということだよね。

そういえば、、


「司馬昭も結婚したんだね!!」
「ぉ?ああ、そうなんだ!!聞いてくれよ!俺の元姫、とにかく美人で綺麗でそれに頭がいいんだ!!今度、三四姉にも会わせるからな!!」
「・・・ん?」
「・・なぁ、三四姉。魏に帰って来ないか?勿論、三四姉が夏候覇と夫婦になったというのは聞いている。俺も色々調べていたから。でも、奴は・・」
「そうだよ。蜀に亡命した身だって言ってた。だから、魏の、、みんなの敵だね。そんな人の奥さんだもん。私は帰れないよ・・」
「・・・・・」
「だからさ、もう帰って?司馬昭。ほら、こんなところご近所さんに見られたら、彼も私も、なんて言われるか・・・っっ・・」


突然、首に衝撃が走って、私はそのまま気を失った。


「ごめん、三四姉。連れて帰らないと、俺が兄貴に怒られるんだわ・・」

意識のない彼女を肩に担いだ司馬昭は、そのまま馬に跨り、そのまま魏を目指した。




<あとがき&反省>

だんだん、引き返せないぐらい歴史ねつ造しています・・・orz
夏候尚は、夏候淵の甥っ子。その夏候淵の息子(次男)である夏候覇は、実は夏候徽と繋がりがあるということで・・・。
・・・まてよ、夏候覇何歳だ・・!?
と、だんだんよく分からなくなってきました^^;
スミマセン、頭悪くてww

次から、ドロドロで昼ドラちっくなお話(を目指してます!)ですww
頑張ります!!(鼻息荒くして)




- 6 -


[*前] | [次#]
ページ:




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -