無題 | ナノ
15歳



ある日、私は誘拐された・・

突然のことで何が何だか覚えていないけれど、、
目と口を塞がれて、麻袋に入れられて、、
何か荷車のようなものに乗せられて、

そしてしばらくしてからどこかに投げ出されたと思う。

落とされたところは傾斜のある斜面だったようで、ゴロゴロと転がる麻袋(中身私)。
頭やら背中やら腕やら、とにかく至る所にぶつけて、転がるのが止んだ。
すごく痛い・・・

取りあえず、麻袋から出なければ・・!と、痛む体を無理やり起こして、護身用にと子元から昔貰った短剣で目の前の布を切り裂いた。
恐る恐る、まださっきの誘拐犯がいるんじゃないかと出てみると、、
目の前は見知らぬ山の中だった。


ここは、どこだろ・・・
人の気配はない・・

ただ・・・
動物の気配ならすごくする・・・


さっき、トラみたいな鳴き声が聞こえたんだけれど・・・
気のせいだよね・・・?
と、後ろを振り向くと獣の唸り声が・・・。

竹林の中から出てきたのは、前世で動物園の檻の外からよく見たあの生き物・・


「・・・・とらだ・・・」


それだけ小さくつぶやいた私は、情けないことに腰を抜かしてしまった。
もう私の事を『餌』と認識したらしい目の前の虎は、涎を垂らしてゆっくりと唸り声をあげながら私の方へと歩いてくる。


やばい、まずい、、

マジでこれは・・・

し ぬ ・・!!



もうだめだ・・ッッと、目を瞑った瞬間、ドスッという鈍い音と、獣のうめき声、それからすぐに何かが落ちる音がして、、
そっと目を開けてみた。

目の前には、先ほどの虎が倒れていた。目と胴体の数か所に矢が刺されてる。
この矢のお蔭で私はなんとか助かったようだ・・・

でも、一体誰が・・
どこから・・・?



「・・・おーい、」
「!!?」
「おぉ・・驚かせてすまねぇ・・・。大丈夫か?」


私の後ろから明るい気さくな声色の男性が顔を覗かせた。
何の気配もなかったのだけれど!?
「おーい?」と、私の顔の前で手をひらひらさせている彼の肩には、弓があり、背には大量の矢を装備していた。


「って、おい・・・怪我しているんじゃないか!?まさか、矢を掠めたんじゃ・・、いやいやいや、俺の腕は父さんも認めた程だからそれはないか・・・」
「・・・矢・・、そうだ!危ないところを助けていただき、ありがとうございます!!」


座ったままで申し訳なかったが、私はそのままお辞儀をした。
まだ手や足がガタガタと震えている。
だって、さっきまで自分は死ぬんだと思っていたんだから・・・。


「ぉう、、まぁ、なんだ。無事で何よりだ!」


にかっと笑うその笑みはどこか幼さが残るもので、男性なのにも関わらず思わず可愛いと感じてしまった。
それから私の目の前にしゃがんで、懐から包帯や塗り薬を取り出した彼は、優しい手つきで私に手当てを施しながら「一体なんでこんなところにいるんだ?」と質問をしてきた。

自分でも突然の事だったもので、今でも状況がよく分かっていなかったんだけれども、、




私は、ゆっくりと話し始めた・・・




「・・・へぇ、お前が魏で有名な菓子屋の看板娘『三四ちゃん』か・・うん。俺も一度食べたことあるよ!あの月餅が美味いんだー・・!!」


あー、思い出しただけで、なんだか腹が減ってきたなー・・と、目の前の彼は目を輝かせていた。


「ぁ、魏の国の方だったんですね。」
「うん・・元、ね。・・けど、今いるここは魏じゃないぞ?魏にも近いけれど、ここは蜀だ。お前は、蜀に置き去りにされたみたいだな・・・」
「・・・そう、なんですか・・」


それは、つまり、、簡単には家に帰れないということ。
魏の国の関所は、凄く厳しいと聞いているから、、


「まぁ、今のこの御時世蜀に亡命する者なんて少なくはない。・・・どうだ?行くところないなら、俺のところにくるか??」
「ぇ・・?」
「俺も蜀に亡命した身さ!これでも一応武将をしているんだ!!だからま、身分なら保証するさ。俺、独身だし、三四の事気に入ったし!!」
「はぁ・・」
「嫌じゃないならいいよな!俺は夏候覇、字は仲権!!仲権と呼んでくれ」



そうして私は、助けてもらった仲権の元でお世話になることになりました。




<あとがき&反省>
すいません、歴史かなり無視しています。
計算すると夏候覇が蜀漢に亡命するのは、、
(ウキペディア先生より)

司馬師が41歳の時なんですよ!!(おっさんじゃん・・)
司馬師と三四ちゃんの年齢は一緒なので、、三四ちゃんも41歳・・(あんまりだ・・)
夏候覇は、生没年不詳だからなんともいえないのですが・・それでも、30〜40代(もしくは、50〜60代)なんじゃないかな・・?
だから、この話でのみんなは凄く若返っているのでww
あんまり突っ込まないでいただけると助かります^^;
夏候覇は、ゲームではまだプレイしていなかったので、台詞集(他、プレイ動画)での知識しかなく、偽物かもしれませんが・・・
どうぞ可愛がっていただけたら幸いです。。




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