無題 | ナノ
10歳



相変わらず、小難しい竹簡を読んでいる子元。

「食べながら読むのは、お行儀悪いよ」と言うと「三四のために今日のやるところを考えていたのだ」と言われた。

それはそれは・・

子元と遊ぶと言っても、毎度毎度『鬼ごっこ』や『おままごと』で遊ぶのではない。
立派な『お勉強の時間』のときもあるのである。


当然のことながら、文字書きや文字読みができない私を見て、哀れに思ったのか、「私の妻になるのならば母上のように優秀でなくてはならぬぞ!」と、私の教師を買ってでてくれた。

いや、確かに例の「大きくなったら結婚しよう」的な約束はしましたよ。
覚えてますよ。
5年前の事だし。

しかし、朝からずっと仕事している私は、座りながらの作業とかとてもじゃないが苦手である。



だから、、



自然と目蓋が落ちてしまうのは仕方がないのである・・






「よし!今日は、『孫子』のこの部分をやるぞ!!・・・三四?」


彼女の方を見れば、自分の腕を枕にして、机に突っ伏すようにして眠っていた。
そんな姿を見て思わずため息をついてしまう。


三四は、知らない。


自分があと少しすれば、妻を娶るような年になるのだということ・・

魏の名軍師である司馬懿の嫡男である自分と、いくら宮廷御用達の菓子屋に上り詰めたとしても、所詮は平民の娘である三四、、


認めたくはないが、こうして一緒にいられる時間ももう残りわずかなのであると、、幼いながらも感じている自分は、きっとどこかこの世に冷めているのかもしれない。



書簡を机に置いて、三四の傍に移動した私は、近くにあったひざ掛けを三四に掛けた。



「・・三四。私は、お前以外の妻は娶らぬぞ・・・。覚悟しておけ」



つぶやくようにそう言って、寝ている彼女の空いている手を握り








私もそっと目を閉じた・・




「(・・・なんで、子元まで寝ているの!?)」
「・・三四、今日は『兵法』について勉強するぞ・・・・」(寝言)
「・・・・・・」




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