無題 | ナノ
5歳



「三四、わたしのところによめにこい」
「・・・は?」


なに?プロポーズ??


「わたしは、まだまだみじゅくもので、ちちうえのようなさいのうはないが・・」


顔を下げて己の拳を握る司馬師。


「いずれ、ちちうえをこえて、いくさのしきをとるめいぐんしになってみせる!」


司馬家の嫡男だからな!
と胸を張った司馬師。

私用の柄の短い竹箒を持ちながら、はぁ、と、何言っているのかよくわからないという私の顔を見てもなお、司馬師は再び言葉を続けた。

あと数分でお店が開店してしまうので、司馬師の話なんて話半分で私は残りの掃き掃除を一生懸命頑張った。
裏や表通りの方は、他のお弟子さんとか従業員の人もやっているから、残すは、私の分担である玄関前。

店主やおかみさんからは、「お前までやらなくてもいい」と言われているんだけれども、そうはいかない!!

私もこの店の一員だしね!!

・・・・というか、なんでこんな朝早くに司馬師が護衛もつけずにお店に居るのかが不思議だ・・


ガラリとお店の戸が開いて、従業員のお兄さんが「営業中」の札を下げようとしている。

やば・・、もうこんな時間か・・!!
でも、掃き掃除はギリギリでなんとか終わった。
身体が小さいから、全ての行動が倍になるから本当に大変。

馬の蹄の音がして、視線を送れば、司馬師に付くいつもの護衛の人が馬から下りて、慌ててこちらにやってきていた。


「・・・だから、三四。せいじんしたら、わたしのところによめにこい」


ぶは・・、と、大人2人が噴出した。
勿論、お店の従業員のお兄さんと司馬師お付き護衛の人である。


「・・・・考えておくよ」
「だめだ!三四は、すぐにわすれるからいまにしろ」
「えー・・」


お店に入って早く準備したいのに・・。

チラリと店の入口を見上げると、ぎょっとした。
従業員の野次馬でいっぱいだったから。
厨房にいた店主とおかみさんまでニコニコとこちらをみていた。


「三四?」
「・・・なんで私なの?」
「わたしは、三四がいいんだ!」


それ、理由になってなくない?

このままでは、ずっとこの問答が続きそうなので、私は早々に諦める事にした。
一つ溜め息をついて「分かった」と呟くと、「三四!!」と初めて司馬師から抱きつかれた。
彼のらしくない行動に再び驚く護衛+野次馬たち。


「きょうから三四は、わたしのいいなづけだな」
「それは、親同士が決めた結婚相手の事を言うんだよ?だから、私達は違・・」
「ははうえにほうこくしなくては!!おい、しろにもどるぞ!」


「し、司馬師さま!!?お待ちください・・!!」と、どもる護衛の人を連れて馬にまたがり行ってしまった司馬師・・・。



一体、なんだったんだ・・?




店主やおかみさんやお店の従業員のみんなから、質問とか「よくやったぞ!!」と言われ続けるまで、あと3秒前。。。




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