無題 | ナノ
3歳



気がついたら私は、幼児だった。


幼児になる前の記憶は、まだはっきり覚えている。
お酒が飲める年頃の日本の女の子(?)であった。

それが、いきなり幼児である・・
凄くびっくりした。


私が、竹林のところで呆然と立ち尽くしていた所を今の店主とおかみさんに拾われたのだ。
店主とおかみさんには、子供がいなかった為に、私は「自分の娘」のように大事に育てられた(と思う)。

それが、1・2年前のお話である。




ちなみにここは、魏の国。
三国志で有名な魏である。


「三四ちゃん。これ、あちらのお持ち帰りのお客様に」
「はい!」


そして、このお店は今では魏でもっとも有名なお菓子屋さん。
城にも直接卸していたりするから、「平民」の身分である私たちだが、いつの間にか「平民」でも少し上の身分になっていた。

最初は、町の小さなお菓子屋だったのだけれど、私がここにやってきてからは売り上げがうなぎ上りだと言う。
小さな平屋だった店も気がつけば倍以上に大きく、店主とおかみさんだけだった従業員も、今となっては20人以上いる。

店主とおかみさんからは「三四のおかげよ」と日々言われた。


といっても、私は、何もしていないんだが・・。


お客様である(どこかの名家の)おじさまに包装したお菓子を渡すと、「ありがとう」と頭を優しく撫でられた。
店の外までお見送りして、お客様が見えなくなるまでお辞儀をする。
最近知ったのだけれど、私のこの姿がとても有名になって、店が繁盛しているらしい。


・・・・・よくわからん。


顔を上げると、「三四」と声を掛けられた。
視線を声の方へ送ると、常連さんである子元が、いつもの護衛の人を連れてこちらへやってきた。

珍しい。
いつもは司馬夫人の張春華様もいらっしゃるのに。

子元に聞くと「もうすぐ、おとうとかいもうとができるのだ」と言って少し柔らかい表情を見せた。

おぉ!すると、子元はお兄ちゃんになるんだね。
なんだかいい話だ。

店先で立ち話もなんなので、子元と護衛の人を店内にご案内した。


店の従業員達も慣れたもので、私と子元を見るとにっこり微笑んで、店の奥のいつもの部屋へ案内してくれた。

時間も丁度休憩の刻。
そう、私はここでいつも昼食を摂りながら子元と遊んでいる。

勿論、子元も昼食は一緒である。


最初は、魏の名軍師である司馬懿様が、息子の司馬師(子元)と私がこうやって昼食を共にして、共に遊んでいると知って、大変お怒りになられたそうだけれども、、
今となっては司馬懿様はうちの店の常連さん。
ここの菓子がとても気に入っているそうだ。

もう、何もとやかく言われなくなった。


月餅をはむりと頬張りながら、ちょっと物思いに更けた。

向かいに座る子元は、同じく月餅を食べながらそんな私をじっと見ていたと思う。



「子元はどっちだと思う?弟かな、妹かな??」
「わたしは、どちらでもいいぞ?」
「やっぱり、女の子がいいな!!子元は、ちっとも遊んでくれないし。」
「・・わたしは、しばけのちゃくなんだぞ!いずれはちちうえのあとをつぐために、いまからべんきょうしておるのだ」
「・・・・・おままごとやりたいのに・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「はぁ・・、きょうだけだぞ?」
「やった!子元大好き!!じゃあ、私がお母さんで、子元は私の息子ね?」
「な・・!ふつうは、ちちおやだろう!!」
「だって、子元はどっちかっていうと子供役の方が合うもん!じゃぁ、、犬がいい?」
「ふざけるな、三四・・!!」
「きゃー、子元が怒ったー!!逃げろー!!」
「まて、三四!!」




やっべ、子元からかうの超楽しい!!



「(三四ちゃんは、司馬師様のお相手が上手だな。子供の遊びを全て出来る様にわざと口論するとは・・・。今日は鬼ごっこですかな。)」




<あとがき&反省>
三四ちゃん無自覚ww




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