ひたひたと床を裸足で歩き、彼女は夜空を眺めに行こうと思った。月の光が照らす、景色の良い部屋があるのだ。その場所で、ひっそりと物思いにふけろうと思っていた。
しかし、今日その部屋には先客がいた。あの、独眼竜こと伊達政宗様であった。彼女は足を爪先立ちに変えて、自分の寝室に帰ろうとした。見つかっては、何があるか分からない。途端に後ろから声が聞こえたので、びっくりして足が滑り、ずいぶんと派手に転けた。

「うわああああ」
「馬鹿め!お前の気配など気づいておったわ!」

政宗様はからからと笑って、こっちに座るように手招きをした。

「お前もこの部屋が好きじゃろう」
「え?」
「お前が毎日のようにここに来ていることに気がつかんと思うたか?」
「さすがです…」
「この部屋はわしも好きでな、お前が好きになるのも時間の問題だろうと思った」

政宗様は酒を飲んでから、彼女にも酒を渡した。酒は月の光を浴びてきらめいていた。

「今日は特別な日じゃ。飲め。」

きらめく酒を受け取り、静かに味わった。それからじわりと喉が潤った。

「…もう少し居てくれぬか」
「どうされましたか…?」
「今日はお前のそばにおらぬと気が済まぬ」

それから月の雫石を飲み干した。

110426
とっこちゃんお誕生日おめでとうございます お酒が飲めると聞いて…!勝手に押し付けてみる(…)