小さくて、
細くて、
あと少しでも力を入れれば折れてしまいそうな腕を
ぐっとこちらに引き寄せて。
壁に追いつめてみると、
小さな息遣いがこの距離でも聞こえた。

少しでも自分のことを相手にしなかったからと言って
こういうことをするのは正直気が引けるが、
でも自分の欲求には逆らえないんだと頭の片隅で思った。
ずっと大事にしてきて、
ずっと想っていたのが通じたなら、
ずっと自分のところに置いておきたいと思ってしまう。
気づけば、彼女の瞳が静かに揺れていた。
自分が握っている腕が痛むのだろう。
その表情が自分によって作られていると思うと、
ますます腕を握る力が入った。

すると、か細い声が聞こえる。

「痛いよ、離して」
「ああ、」

答えてから、さらに力を込める。もっと壁に追いつめる。

「何か悪いことでも…痛っ」
「名前は何もしてない」
「じゃあ離して…っ」
「ごめんな、でも、許してほしい」

もっと苦しんだ表情が見たくて、首筋に手を伸ばして捕まえた。
生ぬるいようで温かい首筋に指が食い込む。
白いそれに赤が広がる。
とても綺麗に見えた。
そしてそのまま彼女の耳元で囁く。

「全部、俺に預ければいいんだ」

彼女は顔を真っ赤にしながら、息を吐くだけだった。
130703