透明傘 | ナノ
9


なんだかんだ、ボチボチと勉強を始めた俺ら


「あれ?なんだーやってんじゃん。偉い偉い」


そんな声が聞こえてきたのは俺らがやっと集中し始めて20分経ったあとくらいだった。驚いて顔をあげるとそこには爽やかさ満点のお兄さんが。

えっ?
こ、この人が…?

目の前にいるいかにも好青年って感じの人をガン見する。


「い、イケメンだ」

「な?言っただろ?」

「え、なんの話?」


松本は髪黒いけど、染めてるのか髪が茶色で髪型と服装を見てお洒落さんだということがわかる

…ほんと、想像と違う
松本と似てねえ…!!


「あ、えと、俺、加賀双葉ですっ、えーと…」

「双葉くんね、成幸です よろしくね。弟がいつもお世話になってます」

「こ、こちらこそ!」


ニコリと笑いながら俺に軽く頭をさげる成幸さん
うわああ礼儀ただしい!!


「緑川くんは初対面じゃないからね。双葉くんも理系?」

「あ、はい!」


俺のとなりに座ってノートを覗いてくる成幸さん
な、なんか緊張するんですけど。


「じゃー、何からやろうね。緑川くんと政孝(まさたか)も同時進行でいいの?」

「それでお願いします」

「なんでもいーわ」


…松本の名前呼びとか久しぶりに聞いた。

来たばかりだと言うのに着々と始めてく成幸さん
時間を無駄にしない人なんだろうか。


「あ、成幸さん。」

「ん?」

「これ、緑川と買ったケーキです。三日間よろしくお願いします」


ペコリと頭をさげて成幸さんにケーキボックスを渡す
一瞬目をパチクリとさせたがすぐに あはははと笑い声をあげた


「ほんとうに買ってきてくれたんだ?ありがとう」

「…何買えばいいかわからなかったんで、その、成幸さんから好きなの食べてください」

「わかった。楽しみにしてる」


優しく笑った成幸さんがケーキを受けとった
…いや、ほんと爽やか美形ってすごいな

マイナスイオンがでてるもん


「んじゃあ、やりますかぁー。」


明るいハキハキとした声で成幸さんが俺らに向かって言ったが、だらけた返事しかでなかった。


「みんな元気ないね」


そんな様子に成幸さんも苦笑する

………勉強したくねえ…………。



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bkm