透明傘 | ナノ
8


医大か…すげえ頭してんな…。


「まじで松本の兄弟?」

「てめえバカにしてんのか」

「そりゃあ…」

「緑川まで!」


いやでも松本だし…。
松本つったら下から成績数えた方が早いしな…。


「俺勉強できないけど大丈夫かなぁ…。」

「加賀は問題ないと思うよ。松本が一番問題ある」

「ひどいな!!」


まあ松本もそうだけど…。
俺も結構できない方だし。
イライラされたらどうしよう


「大丈夫だって。成幸さん面倒見いいし」

「本当か?」

「おー、優しい兄ちゃんって感じ」

「それはねえ。まじでねえ。」


松本は否定したが緑川が言ったのならその通りなのだろう
そうか優しい兄ちゃんか…。


んじゃあ大丈夫かな?


「あ、そういえばケーキたくさん買ってきたから成幸さんに好きなのあげたげて」

「おっさんきゅー」

「いえいえ」


てか本当にケーキだけでいいのかな…。
申し訳なくなる。


「んじゃま、ボチボチ始めるとしますかー。」


緑川のそんな一言でだらだらと起き上がる。
じっ、と机の上に散らばってる教科書類を見て、やる気を出そうとするがどうも出そうにない。


代わりに出てきたのは、何故か朝の湊さんの言葉で。


『勉強なら俺だって教えられるのに』


少し拗ねた声が耳に残ったまま出てきては消える。

なんで今出てきたんだ…。
意識しまいと軽く頭を振った

…やっぱ、本当に自炊とか出来ないのかな。だから俺がいなくなるの嫌、とか。
…掃除とか出来るんだろうか…。

考えれば考えるほど心配事が耐えない
けれど、例え雑用としてだとしても必要とされてるのは素直に嬉しい

所詮俺は居候だから。
湊さんの邪魔にはなりたくない。


もしも湊さんに彼女が出来たら、
すぐに家を出ていける心の準備をしておこう。



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bkm