透明傘 | ナノ
5



「………ってことを今日言われた。」

「どおりで、ニヤニヤしてたのか…」


学校での松本と緑川の話をしたらうんざりしたような顔をした湊さん
おい、俺の青春がかかってるんだぞ

夜ご飯は昼考えていた通り冷やし中華をつくって、それを食べてる現在


「…どうせ学生ん時モテモテだった湊さんにはわかんねーよ。」


なんだよその顔の整い方
遺伝子俺も引き継ぎたかった


「いや、そこまでじゃ…」

「嘘つけ。」


目をそらしてる時点で嘘だってことがわかる
なぜそこで嘘ついたのかわからん。

まるで浮気を隠そうとする旦那みたいな顔してるぞ


「だいたい、俺付き合ってた奴いたし。遊んだりはしてねーよ」


フゥ、と謎のため息をつく湊さん
そして冷やし中華をズルズル食べ始めた

遊ばなかったってことは、意外と一筋だったのか…


「…ふーん」


まあ、むしろ彼女いない方が驚きだよな
うん全然おかしいことじゃない。

きっと湊さんの彼女になるほどなのだから、綺麗な人だったんだろう

…うん。

てかなんでこんな事気にしなきゃいけないんだ。羨ましいのか。
確かに美人な彼女ほしいけど。


「双葉は?」

「っ、え?」

「告られたら彼女にすんの。」


突然の質問にドキッとしつつ、考える
一瞬意識が違う方行ってた。

えーと…告られたら…?


「いや、知らない人と付き合うほど経験豊富ではない。」

「だよな。」

「…失礼だな。」


即答されてムッとする
いや、でもコクられてみないとわかんないな

可愛かったらオーケーするかも…。


「見た目で判断する奴ほどゲスはいねーぞ」

「う、うるせえ!」


読まれた。
読まれたというか予測された。なぜわかった。


「だいたい、松本達が言ってたことだから冗談半分だよ。」

「……ああ、あの子たちか。残りの半分は本気?」

「……じゃあ、冗談八割」


俺の答えに湊さんが「なんだそれ」と笑う
本気な訳ないでしょ


「てか、湊さん松本って言われて誰だかわかるの?」

「ああ、双葉が口にする名前ってその二人だけだし。松本くんと緑川くん」


仲いいんだな、と目を柔らかく細める湊さん
…まあ、うん、そこそこ。

改めて言われるとなんか認めたくないような、そんな関係。


「お前は遠慮するかもしれねえけど、気軽にこの家連れてきていいからな。泊めたっていいし」

「え、まじ?」

「まあ事前に言っては欲しいけどな。」

「言う言う。え、ほんとに?」

「いいよ。俺もその二人とちゃんと話してみてえし。」


湊さんからの嬉しいお許し。

まじか…!


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bkm