透明傘 | ナノ
3



最近俺としては気分がいい。


「…あっちぃな。」


隣でダルそうに呟く緑川
机にべったりくっついていて、猫が暑さでバテてるときのそれを想像させる

確かに、教室のあちこちからは「クーラー」だの「アイス」だの夏を想像させる言葉ばかりが飛び交っていた


「そうだな。」

「…お前は機嫌良さそうなのね。」

「ああ。」


この数日間晴れ続き
俺としては心地いい

そろそろ季節も変わってくるしね。


「ちーす!加賀ぁ、緑川!」

「………さらにあっついのが来たよ…」


松本の登場にゴン、と緑川のおでこが机にぶつかる音が聞こえた。
確かに松本は暑苦しい。テニス部ってだけでなんか、な。


「最近あっつくねー?学校クーラー設置しねーかな」

「せめて扇風機欲しいよな…。男子校だったら全裸になるところを…」

「加賀がすげえ事言ってる。」


珍しいってか。
とりあえずTシャツにはなりたい。
なってもいいだろうか。


「アイス食いてえ。」

「俺も」

「俺も。」


俺のボヤきに賛同する二人
アイスの自販機、学校の中にあればいいのに。

窓の外は快晴。


「そろそろ傘も要らねえな。」


常備していた折り畳み傘も大分使う回数が減ることだろう。


「早くプール入りてーなプール」

「日焼けしたくねえ…」

「緑川肌しっろいもんな。」

「加賀だって白いじゃん。」

「俺は日焼けしたいくらいだ。」


大分前に湊さんにからかわれたし。


「お前が日焼けしても似合わねーな。想像できねー。」

「そんな加賀嫌だ。」

「んなドン引きされても」


どんな俺を想像してるんだお前ら。
Yシャツを脱ぎながら内心ツッコむ

多少涼しくなった。


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bkm