!Attention!

・千歳×涼(付き合ってる)
・本編には関係ないです!
・涼がツンデレ感満載

・毎度同じく突然終わります!

以上を踏まえてお読みください。



ーーー



俺の恋人は正直、超がつくほどの美形だ。クールな目元に、形の良い唇、通った鼻筋、綺麗な肌。いつもつまらなそうな仏頂面をしているため時々見せる笑顔が半端ないダメージ力を誇る。何度心臓が止まりかけたところか。

その美貌のおかげで、そいつは非常にモテるし全校生徒から憧れの的だ。
そいつがいるだけで周りはキャアキャアするし空気もピンク色になる。なんとなく、俺はいつもその空間に居づらくなる。


今日もそれは変わらず。



「会長様ぁ、お疲れさまでした」

「鞄をお持ちいたします」

「はぁ…今日もほんとうに素敵です…!」



そろそろ部屋に戻ってくるかと思って、わざわざ寮棟の入り口まで迎えに来たと言うのに俺の恋人は知らねー生徒たちに囲まれていた。ざっとみて10人くらいいる。なんだこいつら千歳のストーカーか。

そう言う俺も、物陰に隠れながらその様子をジッと見ていた。
キャアキャア言われてもいつもの仏頂面は変わらず、怠そうに歩いてる千歳。
端から見れば鬱陶しそうにしてるよう見えるかもしれないけれど、謎のフィルターがかかってる俺はまんざらでもなさそうに見えてくる。お、俺をこんなに待たせといてお前はハーレムかよチクショウ!!


でもずっと待っていたとバレるのも、今嫉妬に駆られてしまってるというのもばれたくなくて出ずに出られないでいる。ちなみにデカい観葉植物の影に体育座りをして入口をガン見してる状態。


俺がここにいるなんて知らない千歳は、エレベーター待ち。
俺と千歳が付き合ってる事を公表すれば、もう少し嫉妬せずに済むかもしれないけれど俺が断固拒否してる。言ったら注目の的になって余計恥ずかしくなるのが目に見えてるから。

でも…
こうもいつもハーレムを作ってるとなるとなぁ…!!!!
マジでむかつく・・・!!!

イライラが積もりに積もって床をベチンベチンとはたいた
いつもそうだ、千歳が絡まれるの見て俺が歯ぎしりして・・・まるで俺ばっかこいつのこと好きみたいで本当に嫌だ


「何やってんだお前」

「ビャアアアアッッ!!!」


突然声を掛けられて盛大に叫んだ
いつの間に俺がここに居たことに気づいたのか、観葉植物の前に立ってこちらを覗いてる千歳が。


ち、ちちちt、
千歳!!!!


なんでわかった!!!!



「べ、別に、ちげーよ、お前迎えに来たとか、そういうんじゃなくて、」

「俺を迎えに来たのか」

「違うって!!」


違うっつってんのになんでそんな自意識過剰なこと言うかな!?
なんか色々恥ずかしくて、顔に熱が集まる。激辛唐辛子丸かじりしたくらい熱い。したことないけど。

全力で否定する俺に、ふ、と小さく顔を綻ばせた千歳。ほらその顔。キラキラが一斉に飛んでくんだよ俺の顔面に。
すると千歳が俺の脇の下に手を入れてきて、ハッ!?となる

な、なにして・・・、


「いつまで座ってるつもりだよ」


立たせられた。あ、そういうこと・・・。
いや、自分で立てたし!!


「やめろよ、自分で立てたよ」


恥ずかしさを精いっぱい隠しながら千歳の身体を押し返す。
千歳の背後にはさっきの子達がいて、こっちをガン見してた。
やばい、めっちゃ恥ずかしいやつ。


「おい・・・待たせてるぞ」


エレベーターが扉を開けたまま待ってるのは、あの子たちが千歳のために待たせているから。
そこに俺がグイグイいく訳にもいかず、千歳に促す。

勝手に行ってろ


「あいつらは関係ねーだろ」

「律儀に待ってくれてんだぞ」

「涼だってそうだろ」

「お、俺は別にお前なんか待ってねーよ、侑くんの帰りを待ち伏せしてただけで」


本当っぽい嘘をついて、誤魔化した。
だって恥ずかしいじゃん、ずっと待ってたのってバレるの。
しかもたかが10分くらいだし。


「…ふーん。」


どうやら俺の嘘を信じたらしく、千歳が相槌を打った。
ちょっと低めの相槌。ふと顔を見上げてみたら、俺の顔を見てる千歳と目が合った。

な、何見てんだよ


「あ、あの書記様、僕たちの事は気にせずお先にお使いください!」

「書記様もお疲れでしょうから!」


もだもだしてる俺を見て、さっきの子達が気を遣ってくれた。
この子達が俺にも優しいのは、俺が書記で、千歳の恋人だなんて微塵も思ってないからなのだろう。俺が恋人だってわかったら、何をしてくるか…。


「あいつらもそう言ってんだし、さっさと帰るぞ」


遠慮しようとしたら、千歳に無理矢理手を引っ張られた。
渋る前にエレベータに入れられ閉めボタンを押される


「おい、千歳・・・人がいる前でああいうことするなよ」


手繋いだり、俺を持ち上げたり・・・。
変な誤解されたら堪ったもんじゃない。事実なんだけど。


「ああいうことって何だよ」


エレベーターのドアが閉まった後、千歳が端整な顔を近づけてきた。
俺の顔の横に手を軽く置き、見下ろすようにして俺を見てる

き、急にちけぇな・・・。


「何も変な事なんかしてねーだろ、一度も」

「そもそもやたら近い距離にいる時点でアウトだろ。バレたらどうすんだよ」

「俺は別にどうもしねーよ」


確かに千歳は俺らが付き合ってる事を公表しようがしまいがどうでもいいんだろう。

なんでだよ、明らかに面倒くさい展開になるってわかってるのに。


「つか、お前いつまで侑介贔屓してんの」


へ。
ゆ、侑くん贔屓?
なんだそれ。

意味の分からない千歳の言葉に首を傾げる


「別に俺、侑くん贔屓なんて…。」

「彼氏じゃなくて弟待ってるってどーなんだよ」


千歳が珍しく苛立ちを見せた。目を細め、眉間に皺をよせている。
あ、さっきの嘘か…。なに、それに怒ってんのこいつ


「まさか、俺らが付き合ってるの隠してる理由って侑介にバレたくねーからとか?」


千歳の言葉になんでそうなるんだと、目を見開いた
ブンブンと首を思い切り横に振って否定する


「ち、ちげーよ・・・侑くん関係ないし、隠してる理由は色々面倒くさくなるのが嫌で・・・。」

「へえ」


信じてないな、この顔・・・。
前も言ったのに、この理由。たぶん。

そろそろエレベーターが目的の階に着くころだったから、千歳の身体を押しやった。


「とにかく、俺はお前と付き合ってるのバレたくないの!」


そもそも恥ずかしいじゃん!
未だに千歳相手に顔真っ赤にしてることなんて、ばれたくないし!

そう思いながら外に出ようとしたら、すごい力で後ろに引っ張られた

後ろに倒れそうになりながらも千歳を見る

なんだよ…!!!


「ちと……うぁっ!?」


キレようと思ったら、エレベーターの壁に押し付けられた
ドスンッと背中がぶつかって微かに痛みが走る

けれどそんなことが気にならないくらい、千歳の顔が近くにあって言葉が詰まった

色素の薄い茶色の瞳が、俺の目を捉え本能的に俺を動けなくさせる。肉食動物のような、鋭い視線


「んぅっ…!」


そして、噛み付くようにキスをされた。
俺の顎を左手で固定しながら、俺が逃げられないように。

なっ、
なに!!??


「ひ、ひろへ…!?っ、んん」

「うるへー」


口を開けた瞬間、舌まで入ってきた。ぬるりと生暖かいそれは、俺の口内を的確にゆったりと犯していく

俺はこいつのキスに未だ慣れない
腰あたりがジンジンして、身体全体に甘い痺れが走るから


「っはぁ、んン…」


頭の中で一体なんなんだと混乱していたが、千歳のキスにどんどん思考がボヤけていく俺。千歳のシャツに精一杯しがみついてキスを受けるが、室内に響く厭らしい水音だったり荒い呼吸がより俺の羞恥心を増幅させた

くそ…めっちゃ気持ちい…

ここがエレベーター内だということも忘れて、千歳とのキスに没頭する。気付けば俺も千歳の舌を追いかけてしまっていて、飲み込めきれない唾液が俺の顎を伝った

そんな時、鳴ったエレベーターの『ポーン』という音

ん…?
そういえば俺らって階数押したっけ…勝手にエレベーター動いただけ?

そんなことをぼんやりと思うがそんなわけなく。

開いてしまったエレベーターの外にいる生徒たちを見て我に返った


さっきまで楽しそうに談笑していただろうに、俺らの様子を見てピタッと固まってしまっている彼ら。ちなみにこの顔見覚えがある。さっき千歳を追いかけていたファンの子達だ


俺らの様子は、というと。
壁に押し付けられながら、千歳にしがみついてキスをする俺。俺を壁に押しやりながらキスをする千歳。どう頑張ろうが言い逃れできない状況。


シーーーーンと、


耳が痛くなるくらいの静寂が俺らを包んだ。


知らぬ間に数秒たっていたのか、誰を乗せるわけでもなく閉まるドア

最後の最後まで誰も言葉を発さなかった
ずっと目が合い続けたというのに。


・・・・・・
・・・・・・・・へ?


「ばっちり見られたな」


固まる俺に向かってそう呟いた千歳
けれど千歳からはなんも焦りが感じられず、むしろこの状況を楽しんでいるように見えた

千歳の部屋がある階のボタンを押す千歳を唖然としながら見上げる


・・・へ?


「なんだよ、続きしたいって?」

「ちっっっっっげーーーーーよ!!なに今の!なんだったの!なに!?夢!?ドッキリ!!??」


ふざけた口振りで俺の脇腹に手を入れてきた千歳の手を思いっきり叩きのめす

バカかこいつ!!!
一周回ってバカなのかこいつ!!

思いっきり見られたぞおい!!!


「なにに怒ってんだよ。お前だってノリノリだったじゃねえか」


俺に叩かれた手をさすりながら、すっとぼけたことを言う千歳
の、ノリノリ!?別にのってなんかねーし、何を言ってるんだこいつ!!


「み、みられた?」

「ああ」

「キスを?」

「お前が顔真っ赤にしながら俺にしがみついてるとこがっつりと」


死にたくなった

サァーッと顔から血の気が失せていくのがわかった。そんな俺の一方でどこか上機嫌な様子の千歳
固まった俺の頬をスルスル撫でながら「明日楽しみだな」なんて言ってる

明日
きっとさっきの子達がさっきの様子を一斉に広め大騒ぎになるに違いない
しかも相手は俺
一体、どんな目にあうことか


つかなんでお前はそんな機嫌良くなってんだよ!!



ーーー

千歳は涼を俺の物アピールしたくて仕方なかった
千歳と涼が付き合ってる事に関しては一部を除いて祝杯ムードになります。
一部というのは涼のこと好きだった子達です。



唇から溶ける