!Attention!
・侑介×涼
・同棲してる
・甘い
・クリスマス
以上を踏まえてお読みください
メリークリスマス!
ーーー
寒さに震えて目が覚めた。
頬に刺さる冷たい空気、窓から差し込むはずの光はうっすらとしたもので今朝の天気があまり良くないのだと察する。
ふと、いつも隣で寝ている人物の顔を見ようと体を左に向けたがその人物はもういなくなっていた。今何時だろう、と部屋の時計に視線を送ると短い針は10を指している。
「えっ」
俺はすっかり寝坊したようだ。
反射的に起き上がってしまうけれど、やっぱり寒くて近くにあったブランケットを肩にかける。今日は、一緒におでかけをする予定だったのにすっかり寝坊してしまった。
パタパタとスリッパの足音をたてながらリビングへと行くと、すでに、一緒におでかけする約束をしていた人物は着替えも、準備も終わっていたみたいで椅子に腰かけコーヒーを飲んでいた。
俺を一瞥して「…おはよ」と呟く彼。
「お、起こしてくれれば良かったのに」
いつも早起きの癖にこういう日に限って寝坊してしまう。
俺は急いで洗面所に向かって顔を洗ったり、準備をする。
「別に何時に出かけるって決めてたわけじゃねーし」
「そうだけど、侑くん何時に起きたの?」
「さっき」
さっきっていつだろ…暇だったんじゃないのかなぁ、申し訳ないことした。
歯磨きをしながらこのあとの予定を考える。
昨日は、クリスマスツリーの飾りつけをしたりちょっと豪華なご飯を作ったりしたから、ほとんど家にいた。だから今日は一緒におでかけをしようと、昨日の夜から言っていたのだ。今日は12月25日。昨日はクリスマスイブ。
きっと人混みがすごいんだろうなあ…、なんて思いながら口を濯いでいた時ふと、左薬指に違和感を感じた。コップを持った時に違和感に気づくなんて、俺鈍すぎだろ、って感じだけど。
タオルを口に当てながら左手に視線を送ると、キラキラ光るシルバー色の何か。
宝石などはついてなく、シンプルな細めの指輪が、俺の薬指にぴったりと嵌っていた。
えッッッッ
「ゆ、ゆゆゆゆゆ侑くんっ!!」
俺はスリッパなんて放り出して裸足で侑くんのとこまで駆け寄った。
左手を掲げながら大声をあげる。
「これっ、これ、なにっ」
「指輪」
「いつの間に!」
動揺のあまり噛みっ噛みな俺に侑くんはしれっと答えた。
俺はそれにも吃驚して、侑くんと薬指に視線を行き来させる。指輪、指輪だけどっ
「昨日の夜。お前は気づいてなかったけど」
「ええっ!?そうなの?全然気づかなかった…!嬉しい、ありがとう!」
俺寝たら中々起きないからなあ…
にしてもピッタリサイズだ。すごくきれい。本当に嬉しい。
「俺そんなに爆睡してた?」
「…いや。」
「ん?」
侑君の言ってる事がわからず、首を傾げる。
起きてたってこと?
侑君は俺の顔からふいっと目を背けた。
そして数秒してから、"昨日の夜"の意味を知る。
昨日の夜。
たぶん、ベッドでのこと。
あっ、あぁあ〜〜〜〜っ
そのときね〜〜〜っ!!
「き、気づかなかったぁ…わあ…ありがと…」
そういえば昨日やたら手を握られた気がする。後ろからの時でも手ギュッてされたし。全然気づかなかった…。そしてめっちゃ恥ずかしい…。
俺はそそくさと逃げるようにして洗面所へ戻ろうとする。
が、「涼」と声をかけられて振り向いた。
すると、侑くんの左手首にはある有名ブランドの腕時計が。
俺が、昨日侑くんのために用意したクリスマスプレゼント。
サンタさんを意識してクリスマスツリーの下に置いておいたけど、ちゃんと見つけてくれたみたい。
「時計サンキュ。嬉しい」
侑くんはそう言って俺の手を引いた。
俺の冷たい手とは違って、温かい侑くんの指先。
座ってる侑くんに対して俺は立っているから、少し屈むような体勢になる。そのまま俺の唇にキスをした侑くん。コーヒーのいい香りにくらりとする。
「ん、ん…」
思っていたより長いキスをされて、僅かに息が上がった。
唇を離された時、くたりと侑くんの肩口に顔を埋めてしまう。朝から刺激が強い。
「舌まで冷てえな」
「歯、磨いたばっかだもん」
侑くんからしたらきっとコーヒーと歯磨き粉っていう変な味がしてしまったに違いない。
侑くんに凭れ掛かってる俺を侑くんは抱き上げた。侑くんの膝の上に乗せられて、目の前に大好きな顔が広がる。
高校の時よりも大人っぽくなっていてもっと格好良くなってしまった侑くん。外に出ると女の子たちからの視線が多くて心配になる。
「…指輪、落とすなよ」
そう言ってまたおれにキスをしてきた。背中に当たるテーブル。俺が返事をする余裕なんてなくて、ただただ侑くんからの甘いキスに溺れる。
この時には、さっきあんなに寒かった事なんて忘れて逆に暑いくらいで。
結局そのままベッドに逆戻りで、出かけるのは正午になってしまった。
ーーー
涼が侑介の女の影を心配するように、侑介も涼に指輪で虫除け
君しか見えない視界