誤算、伝染中 | ナノ
05

まっすぐ学校へは向かわず、まずは侑くんの部屋を訪ねる
時間は八時前。

どうだろ〜今日はいるかなぁ


一年生フロアで降りると、(当たり前だけど)一年生がたくさんいた。
エレベーターから出てきた俺をみて、俺と同じくらいの身長の子たちがギョッと目を見開く


「し、書記さま・・・!」
「えっ、うそ、朝からついてる!」
「綺麗すぎる・・・」

とか、言ってなんかザワザワしてる

なんで様付けなのかといつも疑問に思うが、気にしない。

生徒会の人間って様付けするほど偉いのかね。


そんな子達を無視して、侑くんの部屋へ直交。
何人も振り返って俺を物珍し気に見てたけど、学校始まってから毎朝来てるからね、ここに。


「侑くーん、いますかー」


呼び鈴を鳴らしながら、ドアに顔をつけて侑君を呼ぶ
五回くらい鳴らしたころだろうか、すごい勢いでドアが開いた


ゆっ…!



「ゆ、侑介くんなら、もう行きましたよ・・・!」

「・・・・」


侑くんじゃなかった・・・。


息を切らしながら出てきたのは侑君と同部屋の一年生。
名前は忘れた。前言われた気がしたけど。
頬を染めながらそう言った子は、どうやら俺に気があるらしい。

確かに可愛い系だけど、俺、そっち系に全く興味ないんだよね。


「なんだ〜、じゃあいいや。どうもね」

「あっ、は、はい!」


えー…侑くんもういっちゃったのー。
俺朝一緒に行けた事ないんだけど。
明日は今日より5分はやく行ってみよう。


がっかりしながら、エレベーターに乗り込む。
人一杯だから嫌なんだけど、歩くのも面倒くさいからなあ。

ピンポーンと音がして、ああ人が一杯いるんだろうなぁと思いながら開いたドアを見てみたら一人しか乗ってなかった。

えっ、ラッキー!
そう思ったのも束の間、その一人をみて非常にがっかりする。

「あれぇ、涼じゃあん。おはよ」

うわ…

ピンクアッシュベージュのボブヘアという女みたいな髪型に、間延びしてる言葉
化粧をしていて、作られた顔とはいえ可愛い顔をしている。侑くん程じゃないけど。

俺と同じ生徒会の会計で、3年生
趣味が女装のため、騙される生徒がたくさんいる
ちなみに今の髪もヅラ

「おはようございます有岡さん」

「お前今完全に嫌そうな顔をしたよねえ?」

「し、してないです!してない!」

どおりでエレベーターがスッカスカなわけだ!
この人がいたらみんな遠慮して乗らない。俺は乗るけど。

「今日もすごいですねー。スカート・・・。」

「可愛いでしょ。俺ミニスカ履くビッチは嫌いだからぁ、清楚系。」

膝丈のスカート。
だとしても、生足をさらせる先輩はすごい。綺麗だし。すごい。
声はガンガンに低いけどね。所謂イケボ。

「涼も履いてみたら?きっと似合うよ〜、特別に俺の女装セット貸してあげる」

「ん、あ、いえ、いいです。有岡さんにしか似合わないんで」

「えー、絶対似合うってぇ。今度覚悟しておけよ〜」

恐ろしい事を言われた。
丁度ドアが開き、手を振りながらエレベータを下りる有岡さん。
出待ちファンがヒャアヒャア言ってる。

・・・意外にも有岡さんのファンは、みんな可愛い系。中にはオラオラ系もいるけど、みんな尻に敷かれてブタ状態になってる。

考えてみたら生徒会の人たちのファンはみんな可愛い系だな。俺自身のそういうのは知りたくもないからわからないけど、あの人たちと一緒にいるといつも以上にピギャー!!ってすごくなる。

特に生徒会長は、ズバ抜けて人気がある。
圧倒的なカリスマ性のせいか、その顔のせいか、全てが完璧なところか…。

まあ、そんなの俺の知ったことじゃないか。


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bkm