誤算、伝染中 | ナノ
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真澄に『風邪を移したら嫌だからせめてマスクをして』と頼まれたからマスクをしながら看病をすることにした

んー、マスク苦しいから好きじゃないんだけどなあ。
でもマスクしてなかったら絶対俺のこと部屋に入れてくれないだろうし


「真澄、俺保健室から解熱剤貰ってくるから、その前に着替えちゃおうか。汗、気持ち悪いだろ」


真澄のクローゼットから適当に服を出してベッドに腰掛ける

俺の声に、閉じていた目をうっすら開いた真澄。なんか、さっきよりつらそうになってる。体力的にも、そろそろ限界なんだろうか


「水、飲める?くち、あけて」


解熱剤を飲ませ2時間くらい一旦寝てもらったけれど、熱が下がる様子がない真澄。少しだけ下がったがそれでも十分高い。

ひたすら高熱に苦しんだ真澄はとにかく汗でぐっしょりだった。なのに、本人は寒いと言う。

かわいそうに…
とりあえず、せめて水だけは飲んでもらわないと。


「真澄、がんばれー」


真澄の頭を持ち上げて、ストローを咥え込ませる。ぐったりと、俺の手に体重をかけてる真澄。数秒してから喉仏が上下して、きちんと飲んでるのが見て取れた。

よしよし


「ごめん、つらいだろうけどこのまま服脱がせちゃうね。上だけでも着替えよ?寝てて良いから」

「…ん、…おねがい…」


はあ、と熱い吐息を零しながら、真澄が俺の腕に擦り寄ってきた。
その行動に一瞬、体が固まるけれどどうにか我を保つ

なに、この、色気。

気を張る余裕がないからか、真澄のフェロモン?が、もう、だだ漏れ。珍しく散らかってる髪も、肌に浮かぶ透明な汗も、それを余計に引き立てている

あー、これ、あれだ…
もし真澄ファンがこの弱ってる真澄を見たら心臓が破裂してるレベルだ…

そんな事を思いながら、真澄の頭を撫でる。今着替えさせてやるからな。


「失礼しますね…」


なんか、ドキドキしながら真澄の服の裾を掴む。スルスルと少しずつ服を上げていくと「くすぐったい」、と真澄が小さな声で呟いた

う、うるさいなあ!
こっちも気を使ってるんだよ!

だって、いくら親友相手といえども服を脱がせる行為というのは背徳的じゃん、あとめっちゃ手がモタつく。


そして、真澄の素肌が服の下から徐々に露わになっていくのを見て、俺は固まった。



「・・・。」


いい、身体、
してますね。真澄くん。


空気に晒された真澄の腹筋を見て思う


ただ細いだけかとなめていたら全然そんなことはない。服の上からだとわかんなかったけれど、割と、腹筋が、ついている


え、
な…
こんな男らしい身体つきしてたの…?

え?



「…りょう」


真澄に声をかけられてハッとした

う、うわ、
ガン見してた


「あ、うあ…ごめん、」


自分の愚行に恥ずかしくなる
今度は視線をそらしながら鎖骨らへんまでグイグイと服を持ち上げた。

なんか余計に意識しちゃうんだけど!


「う、うで、通すぞ」


ここまで俺、する必要あるかなと思いながらも服の中に腕を突っ込んで真澄の腕を引き抜いていく

熱い真澄の身体
汗ばんでるのが真澄の肌なのか、動揺してる俺の指先なのかわかんない。


急いで腕を通し終えて、真澄の頭から服を引き抜いておしまい。

上裸の真澄が出来上がり。


・・・。


俺は唖然としながら真澄の裸を見下ろした。いや、結局ガン見してんだけど。でもこいつの裸とかあんまり見ることないから、ガン見しちゃう。

体育の着替えの時は肌着きてるし、風呂の時とか鍵閉めてるし、それこそ泳ぐ時ぐらい。でもうちの学校はプールも選択式で、去年は入ってない。だからなかなか真澄の裸をみることはない。


てっきり、ガリガリなのかと思ってたけど、本当に、


「い、良い、身体してるね、」

「……ありがと。」


俺の腕の中でぐったりしながら微笑む真澄

あっ、こんなことしてる暇なんてないよね!寒いよね!

慌てて汗拭きシートで身体を拭こうと、シートを取る
けれど、いざこの体に触れると思うと少し戸惑った。

まるで運動部のような体つき。

なんか、なんていえばいいかわかんないけど、

えろいんだよ…!!!


「…鍛えてるの?」


視線が定まんないままボソボソした声で尋ねてみる。

俺の質問に微かに笑うだけの真澄。

うわ、またそうやってはぐらかす。
いつの間に鍛えてんだ?トレ室行ってる暇とかあったかな、俺が知らないだけ?

ドキドキしながら真澄の首、鎖骨、腕とシートを滑らせていく。目に毒だ、こんな真澄。

はやく服を着させたい。


「涼に褒めてもらえるなんて、鍛えた甲斐があったな」


ある程度、身体を拭き終わった時、真澄がそう言ってきた。

「え、」と身体を拭いていた手が止まる。
俺が固まっている間に、その手をすくい取る真澄


熱い真澄の手。


突然握られた手にビックリして、はらりとシートが落ちた。え、なに。


「…真澄…?」


目を丸くする俺に、真澄がちらりと視線を寄越す。

そんな俺を見ながら、俺の手を口元へと運んだ。瞬きをする間もなく『ちゅ』と手の甲に唇を落とす真澄。



その行動に、俺、

唖然。



熱い唇が触れた部分に、全神経が持ってかれた。

なにも言葉を発することが出来ずにただただその光景を眺める


また、熱のせいなのか、
それとも普段放出してない色気の大売り出しか。


勘弁しろよ

お前、自分が思ってるより破壊力あんだぞ。


じわじわと、首に熱が伝っていくこの感じ。俺がパニックを起こしてるのを知ってか知らずか、真澄が目を緩める。熱に染まった目元。

そして、


「もっと褒めて」


と、俺の手に頬を摺り寄せながら、真澄が気怠げな微笑みを浮かべてきた




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bkm