誤算、伝染中 | ナノ
04


朝。
7時に目覚ましをかけていた俺は、時間通りに目を覚ました
割と寝起きは良い方。

侑くんがちょっと朝苦手だからね。
お兄ちゃんがしっかりしちゃうわけだ。


『おはよう(ハート)(ハート)(ハート) 
朝だぞ(チュッ)』


学校が始まってから、毎日朝は可愛い侑君にラインを送ってる。
侑くんが中学生の時も送ってたけど。

全部無視されてます。


「おっはー、真澄」


二人の共有スペース(リビングみたいな感じ)に出ていき、真澄に声を掛ける
と言っても、真澄もまだ寝てるから誰もいないんだけど。たぶん俺の声を聞いて起きてる。

真っ先に洗面所に行って顔を洗って、歯を磨く。
鏡の中の自分はまだ目が開ききってなく、眠そう。

弟と同じグレージュ色の髪。侑くんがこの色にしてから俺も真似してこの色に。
けれど俺の方が色素が抜けた色をしてる。
目の色も違う。やっぱり目の色も、俺の方が色素が薄い。


「・・・おはよ」


数分してからすごく眠そうな顔をした真澄が洗面所に来た
俺と違って寝癖はなく、綺麗な黒髪を真ん中で分けているいつもの髪型をしている。


「おはー。昨日何時寝?」

「3時」

「おー、四時間睡眠」


そんなんだからいつもイライラしちゃうんだよ。
俺はきっちり6時間睡眠人間だからな。


「朝食べる?」

「要らない。」


真澄はいつも朝ご飯は食べない。お腹すかないのかね。
俺は朝お腹減る派だから、朝食はきっちり取る派。
侑くんも食べない。朝は食欲がないらしい。


トーストをオーブンで二枚焼いてー、
その間に目玉焼きとベーコンやいてー、

乗せて食べる。

あとインスタントの味噌汁。


んめー。




ご飯を食べている最中時計を見てみると7:35

そろそろ侑くん起きてるかな、と思ってラインを開いてみると既読はついてた。
返信はなし。

でも起きてるならいっか!


真澄はソファに座って、ぼんやりとテレビを眺めていた。
机の上にはサプリメントと青汁。3つのパッケージには鉄分、ビタミン、カルシウムと書かれている

サプリ飲むなら飯食べればいいのに。


シャツの第一ボタンまできっちり留めてネクタイも綺麗に縛ってる真澄。
対して俺はネクタイもせずに、ボタンも第2まで外してる。

そもそも服装・髪型はある程度自由だからそこまで真面目な恰好しなくてもいいんだけど、真澄は真面目クンだから、いつも清潔な格好をしてる。父親が理事長って事が大きく関係してると思うけども。


「涼、昨日言ったこと覚えてる?」

「んー?」

「今日から一年生が活動見学しにくる週間だから大変になるってこと」


あー…。
そういえば昨日そんなこと言ってた気が・・・。


思い出して、少しうんざりした。
だって、嫌だろ。生徒会室が一年生で溢れかえるんだから。
本当何が面白くてあの子らくんだろ…。
絶対人目当てだよな…。


「サボろうとか、考えないでね」


俺の考えを読んだのか、真澄が釘を刺してきた。

んん・・・!できればサボりたかったのに!


「はーい・・・」


仕方なく返事をした
肩に鞄をぶら下げて部屋を出る準備をする

最後に鏡の前で髪型チェックをしてからスニーカーを履いた


今日は侑くんに会えるかなあ


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bkm