04
「見たいですか?暇なときに隠し撮りしてるやつですけど」
か、
カクシドリ?
その言葉に一気にテンションがあがった。
「みたいです!!」
盛大に飛び上がる俺。小鳥遊の携帯を覗き込みたくて、小鳥遊の腕を掴んで無理矢理引き寄せた
突然飛び込んできた俺に驚いたらしく、苦笑いする小鳥遊。「突然来られると心臓止まりそうです」と俺の手に自分の手を重ねながら呟いた。
なんだこの手は。
「その代わり、ラインのブロック解いてください。あとメルアドと携番を教えてくれませんか」
「は?なんで」
「画像送れないでしょう?」
「教える教える。全然余裕」
侑くんの情報と俺の情報だったらそんなの侑くんの情報最優先だわ。ブラコン舐めんな。あとブロックしててごめんな。
さっそく画面を出して小鳥遊に提供する。「嬉しいです」と笑う小鳥遊。俺も今すげえ嬉しい。お前と連絡取り合えるからとかじゃなくて侑くんの画像もらえる事が。
つか今まで小鳥遊のこと妖怪ヘラヘラユウクンノシンユウキドリ だと思ってたけど、かなりいいやつじゃん!かなり!すごいすごい!
生徒会のやつの時もそうだったけどかなり有能なのでは!
「ちなみに何枚くらいあんの」
「数えたことありませんけど中学の頃のもありますよ。あとで送りますね」
「まじで!!!?中学の時の侑くん!!!やばい!!!」
学ランの時のやつでしょ!?ヤバーーーーーーーイ!
嬉しすぎてその場で飛び跳ねまくった。ひゃーっもう笑いが止まりません!最高やったぜ!!
「うあー想像しただけで無理!!升谷くん身体貸して!!」
「へっ!!!?す、すすすすすすす、すみよしさま!!?」
悶えが我慢できなくなって升谷に思いっきり抱きついた。小鳥遊はちょっとまだ前の嫌悪感抜け切れてないから升谷に。今は割といいやつ認定してるけど!!まだ無理!!
俺に抱きつかれてガチーンッて固まった升谷。叫び声うるさいけど、まあよしとしよう。はあ、侑くんの画像入手できる、最高。無理。
「えぇ…?なんで俺じゃないんですか」
「別に誰でもいいだろ!とりあえず写真!約束だからね!」
「じゃあ今何枚か送っておきますね」
ほえっ!?
まじで、やった!
最高!!!!
「やっ!!t「うるっせええええよ!!!!!今なんの時間だと思ってんだよ!!!自由時間じゃねーんだよ!!!」
うわっびっくりした!
突然第三者から怒鳴られて盛大に身体が跳ねる。後ろを見たらなんかブチ切れてる溝内。
あー…確かに我を忘れてまたやらかしてしまった。この空間シーンってしてるし。升谷なんて、なんかグッタリしてる。えっとりあえず椅子に座らせとこ、なんかごめん。
「もうその携帯没収だ!どうせ写真見てまた喚くんだろ!」
「えっ、やだ無理無理お願い無理っ!」
「ダメだ馬鹿!小鳥遊も楽しんでんじゃねーよ!」
「…はぁーい」
あぁあっ
俺の携帯がぁああっ
「クッソ溝内覚えてろよ…!」
全力で溝内を睨みつける。
俺がどんなに睨んでも知らん顔してる溝内
ふ、ふてぶてしい奴め!!
しかも携帯取られたら俺なんも出来ないじゃん。さっきも何もしてなかったけど。
俺何してればいいの!!
ーーー・・・
それから。
「お前は大人しく座ってろ」と言われ、みんなが忙しなく動く様子をただただ眺めている俺。
なんか学校の見取り図の拡大コピーを眺めてみんなであーでもないこーでもない言ってる。小鳥遊までそこに加わってる。俺頬杖ついて眺めてるだけ。
俺、
暇っっっ!!
「ねえ、残り時間まで俺ずっとここにいさせるつもり?」
「今それ考えてんだよ」
「あっ、はい」
残り1時間だからみんなボチボチ守りから攻めにシフトチェンジしてくらしい。最終的には総攻撃するらしいけど、
俺、どうしてるのが一番いいんだ。この1時間ドキドキしながら廊下見守ってただけだぞ。
ポンコツ扱いされてんじゃねーか完全に。
「的は絞ります?」
「やるとしたら庶務さんとこじゃねーの、あの人マイペースだし」
「それか北棟を地道に潰してくか」
「千歳さんいますよ」
「それな」
みんなの話に一応耳を傾けながら、俺も同意する。それな。千歳いんだよな。むしろ返り討ちにあって全滅しそう
暇すぎてひたすらお茶を飲み続けていた俺。いざ走るっていうのも嫌だけど暇なのもあんまり好きじゃない。
飲みすぎてペットボトル一本消費して2本目いってる
そのせいかさっきからずっと、
普通にトイレ行きたい。
「(暇だから)トイレ行ってきてもいい〜?」
椅子から立ち上がって、溝内にそう聞いた。割と限界近いし。
そんな俺に「はあ?」と言う溝内
そして俺は怒鳴られる羽目に。
「馬鹿じゃねーの!!あと1時間だから我慢しろよ!トイレ行く途中にやられたら全部水の泡だぞ!!」
えっ、うるさっ
そんな怒る?
「この階に俺ら以外いないんでしょ?」
「いねーけどいつ攻めて来るのかわかんねーんだぞ」
「えぇー!?じゃあ俺ここでしろってこと?」
「だっ、誰もそんなこと言ってねえだろ!」
溝内の顔が真っ赤になった
わー、だっせえ動揺してる
こりゃあと一押しすればどうにかできんな
「そもそもいざ逃げるって時俺動けなくなるよ、トイレ行きたすぎて」
「・・・」
「この歳で漏らしたくないんだけど」
おでこを抑えながらうなだれてる溝内
室内がシーンとなって、みんな溝内の答えを待っている
数秒してつぶやかれた言葉は本当に渋々といった感じだった
「…行ってこい」
prev mokuji next
bkm