誤算、伝染中 | ナノ
09



つかちょっと待てよ〜?


「これあと5日間続くって事?」


一年生が帰ったあと、恐ろしい事実に気が付いた。
部活見学週間は今週一杯行われてる。早い子は部活に参加してるが俺らは違う。


「そうだね」

「えぇ・・・?」


えー、俺嫌なんだけど…。
明日もこれとかサボりてぇ


「二年目の身にもなってよねぇ〜、お前ら一年目じゃんまだぁ」


とか言いつつあんま疲れた様子がない有岡さん。
この人はチヤホヤされるの好きだからな・・・生徒会で唯一なんじゃねーの。


「俺思うんだけど、こっちから役員を推薦する形にすればいいじゃん」

「それでもいいけど一応本人の意思も尊重して、希望者の中から選ぶようにしてるの。去年と一緒。」

「ふーん。」


確かに俺も去年来て希望申請書出したしな・・・。
去年もここはひどい混みようだった。

この学校は生徒会選挙とかが無いから、それがいい。


「それで良い人材はいるの?」

「どうだろうね」


さっきから希望申請書類を眺めて分別してる真澄。
右側に置いてるのを紫乃さんが吟味して、また分別してってる。
左に置かれてるのはシュレッダー行きらしい。


「紫乃さん、何か手伝う?」


生徒会名簿を見ながら、渡されたプリントと名前を照らし合わせてる紫乃さん。
なんかちょっと大変そう。

あ、やべ。敬語普通に抜けてたな


「・・・ありがと。でも大丈夫だよ、もう終わりだから」

敬語抜けた俺にも優しい声でそう言いながらにこ、と微笑んでくれた紫乃さん
おぉ・・・。
こういう優しいところが千歳と大違いな所だな…。優しいし…。

やることがないみたいだから、仕方なく自分の仕事に移った
ほぼほぼ帰る時間だから、やることは活動記録を書くこと。
俺の日記みたいになってる。


「今のところ何人目星がついたんだ?」


今まで別の事をしていた千歳が突然口を開いた
さっきまで山盛りだったプリントがもう消えてる。

うわー、短時間でよくあれ消化したな。
こいつちゃんと読んでんのか?


「今日来た中だと2人ですかね。俺がある程度ちゃんとした家柄選んで紫乃先輩が成績と照らし合わせたんですけど」

「それでいいだろ。名前は?」

「円藤新と升谷瑞樹ですかね」


ショウヤは聞いたことあるな。
エンドウは知らねえけど。

一応今日の記録に記しておく。
漢字がわからないから全部カタカナ

エンドウアラタ
ショウヤミズキ・・・と。


「升谷瑞樹はあれだよ。侑介の同室の子」

真澄が俺にそう教えてくれた。

ああ、あの子か。
通りで聞いたことあるわけだ。

え、つか選ばれるほど優秀なのあの子。
意外。


「侑介は生徒会入んねえの?」

「断固拒否された」


思い出しただけでも涙が出てくるよ。
うー、グスグス。
いいんだけどね、俺が生徒会に入って権力を得ることで侑君を守れるんだから。
一緒に居られるのは本当にうれしいことなんだけど。

うん。断固拒否だった。



俺の反応を見て「へえ」と呟く千歳
興味ねーなら聞いてくんじゃねえよ


・・・今日の夜、もっかい聞いてみよ・・・。



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bkm