誤算、伝染中 | ナノ
08




真澄の指示に従い、とりあえず見た目はきれいな生徒会になった。
棚の中グッチャグチャだけどな。

一仕事おえた千歳はソファに寝転がっている。
おい、一人だけいいご身分だな


「それじゃあ、新入生を生徒会室に招き入れますがいいですか?」

「おっけぇ」

「オッケー!」


親指を立てて同意すると、真澄が生徒会室の外に出ていった。
基本的に真澄が色々取り仕切ってくれるだろうし、合いの手は有岡さんがしてくれるだろう。

紫乃さんは癒し担当で、
千歳は威厳担当。
・・・俺は何かね。


「おい、起きろよ。一年来るぞ・・・ですぞ、」

「さすがにそれは笑う。」


クスクスと俺の変な敬語に笑う千歳
俺に手を差し出してきて、引っ張って、と言ってきた

・・・。
調子乗ってんな…。


「嫌でーす」


さっきのデコピン、俺根に持ってんだかんな。
あと侑くんのピアス事件も疑ってんだかんな。

ああ、侑くんに会いたい…。
今どこの部活見学してんだろ…。生徒会室に来てくれないのかなぁ。

そしたら毎日ずっと一緒に居れるのになあ。うふふ。


俺に振られた千歳が自力で起き上がった。
同時にワラワラワラ!と一年生が中に入ってくる


「一回当たり20人ずつの15分構成です。5分あけて、次の人たちって感じでローテしてきますね。」


真澄が俺らにそう伝えた。
キャーキャーピーピーとうるさい一年生たち。

お前ら男だろうが、という俺の小さなツッコミは千歳の姿をみた一年生の歓声にかき消される。

ただ突っ立ってるだけなのに、この騒がれよう。


本当に・・・。
すごい人気ぶりですこと、我らの生徒会長は。



ーーー・・・


数分して。
あらかた、説明を終えた真澄が時計を確認しながら新入生に訊ねた。


「こういった活動内容ですが、何か質問ある方はいますか?」


今まで真澄の話をうっとりした顔で聞いていた一年達が、はっと我に返る。
そして一斉に手を上げ始めた一年生。


「あー…じゃあ、君。」

「はい!えっと、鴨池様のお好きな食べ物は何でしょうか!」


真澄が真顔になった。鴨池とは、真澄の名字。
え、こういうのもありなの。なんかちょっと楽しいんだけど。
俺も手あげて真澄に質問したい。


「そう言った個人的な質問は「教えてあげなよぉ〜、いいじゃぁん時間あるんだしぃ」・・・。」


ナイス有岡さん。
俺も激しく頭を振る。

嫌そうに顔をしかめる真澄。
が、仕方なさそうに小さく咳払いした


「好きな食べ物、ですか…。味が濃くないものです」


なんだよそれ。
一杯あんじゃねーか。あれか、赤ちゃんが食べるせんべえとかかな(違う)。今度買ってってやろ。



「有岡様の使ってる香水は何ですか!」
「えーと、女物だけどぉ、GUE●●AINの●●とかぁ、CH●NELの●●とかぁ」

「紫乃様の趣味は!」
「野良猫探しかな…」

「三善様のxxxxxは!!?」

「住吉様のxxxxxは!!!?」

「xxxxxxxxx!!!」



タイムリミットまで、とにかく質問攻めだった。
最終的に質問のある人のところに押し寄せてたし

やれ、好きなタイプはだとか、
休日の過ごし方はとか、
シャンプーは何をつかってるのかとか、

そんなもんばっかり。
その質問軍団の中に、侑くんと同室のあの子がいた。

顔を真っ赤にして、一生懸命俺に質問してきた彼

んー・・・思いを寄せられても、俺何も思えないんだけどなぁ・・。
侑君に惚れられるよりは、俺に惚れて貰ってた方がいいんだけど。


あー…
まさか俺もこんな質問攻めになるとは思わなかった。

疲れた。
はやく帰りたい。
てか、侑君に会いたいよお。



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bkm