負け組世界の一番星
いい加減諦めたら?
俺はこの、人生で一番言われたであろう言葉が大嫌いだった。
諦めなよ、という強要の言葉に泣きそうになりながら首を横に振る。こんなボロボロになりながら結果にしがみ付こうと必死になる己を恥ずかしくもあった。けれどそれでも諦められなかった。
諦めたくなかった。
誰のためでもない、すべては自分のために。
身体の大きさとか、
筋肉のつきかたとか、
種別による差とか、
そんなもので自分の限界に境界線を引くのが嫌で、そんなもので自分の夢を諦めたくなかった。
努力は結果を裏切らない、
この言葉を信じて俺はひたすら、それこそ血を滲ませながら努力を重ねた。
俺が志望した進学先は国でトップの軍学校。
知力はもちろん運動能力も問われる高難度の試験を受け、多くの志願者を蹴落とさなければならなかった。定員も他学校に比べればかなり少人数。
試験の難しさの上に、少ない定員数
かなりの狭き門だった。
それこそ文武両道な優秀な人しか残らない世界。
周りを見渡せば俺よりもずっと大きくて、がっしりした人たちばかり。
一睨みで小動物を殺せそうな、そんな覇気を纏った人たちもたくさんいた。
ほとんどが大型の動物の中、
迷いこんだのか、と思われそうな小動物が一匹。
食肉目ネコ科ネコ属、メインクーン種
名前はニコ。
この俺だった。
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bkm