みどりの旗をかかげよ! | ナノ
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トマくんが昨日言っていた通り、今日は対面式。
そのあとに、軽い実力テストと身体測定、最後に体力テストと言った流れ。

対面式では部活紹介とかがメインだから何か興味ある部活があればいいんだけど…サッカーはいやだから、なんか球技系でないかなぁ〜

とか思いながら、学校長の話をぼーっと聞く。

昨日の入学式では緊張しながら話を聞いていたけれど、二度目はいいかな。

隣に座ってる子なんて寝てるし。俺は自分の尻尾をもしゃもしゃと撫でる。暇つぶし。


『それでは、名前を呼ばれた方は登壇してください』


その言葉に視線が壇上へと向かった。
何かと思ったらどうやら、成績上位者3名が表彰されるらしい。

うえぇっ!!この学校で上位を取れるなんて、どんな人たちなんだろう

ただでさえすごい学校なのに、その学校のトップ3となれば超超超優秀。卒業後はもちろん国のエリート職につく。

俺は息を呑んで壇上を見上げる。嬉しいことに俺ら1年は壇上の目の前。少し横にずれればその様子も見ることが出来る

しばらくして、名前を呼ばれた三人が登壇した。

ざわめく会場
上級生はどうだかわからないけれど、少なくとも1年生は興味津々。みんなが見ようとして立ち上がるもんだから見えなくなる

ちょっと俺見えないじゃん!!
邪魔だよ前の人!!!


「誰だかわかる?」

「いやあ…でもやっぱオーラがちげーよな。こう、纏ってるもんつーか…やべえ」


そうなの!?

周りの声を聞いて余計に興味がわく。前の人の両肩に手を乗せて頭だけでも出そうと必死。負けるな俺!!


チラ、と見えたのは勿論三人の後ろ姿のみ。成績順に並んでるのか身長順に並んでるのかわかんないけど、たぶん成績順だろう。

もっとよく見たいけど、
み、見えねぇ…!

種族は?何科?
あとどうせなら顔を拝んでおきたい!!


「っく、ぅ…!」


たぶん前の人めっちゃ迷惑だろうなって思うけれど前の人もその前の人に同じようなことしてるからセーフ!何回もぴょんぴょん跳ねて壇上を見るが、髪色しかわかんない

ざっくり言うと、赤、青、橙といった感じ。え、し、信号機かな…

そんなクソみたいなこと考えてるのは俺だけらしく、みんなは普通に賞賛したまま。

でもやっぱ、後ろ姿が凛ってしてるなあ…格好いい。今は1人ずつバッチを貰ってる。

このバッチというのが、学校で三人しかつけられない特別な金色のバッチ

半年に一回変わるらしいけど、彼らは少なくともこの半年間特別な三人になる。

ああ〜羨ましいなぁ金バッチ〜
俺もあのバッチ一度でいいからつけてみたい。

というか彼らはどうやっていい成績を修めたんだろう。なにかコツとかあるのならぜひ聞いてみたい。

聞いてみたいって言っても、彼らは雲の上の存在だから会えることも話せることもないと思うけれど

そんな機会巡ってこないよなぁ〜…


ーーー・・・


対面式で部活紹介とか聞いたあと、筆記テストをした。勉強してたから割と満足のいく出来だったけど、トマくんは早い段階でさっさと寝てた。大丈夫かな。

そして次は、身体測定。


「・・・なんでそんなに見てくるの」

「んん〜?見てないってえ」

「見てるよ」


今は着替え時間中
明らかにトマくんが俺の着替えをニコニコしながら見てる。本人は見てないって言ってるけど見てる。

まあいいけどさあ。
恥ずかしがるのも変な話だし…

ため息つきながらネクタイを解いてボタンを外していく。

でもやっぱ視線が気になるので、トマくんに背中を向けてからシャツを剥ぐと「綺麗な背中してるね」と言われた

もう!!


「やっぱり見てるじゃん!」

「今はね〜」


急いでTシャツを被りトマくんに怒鳴る。トマくんはやっぱりヘラ〜っと笑ってて意識してる俺が馬鹿みたいになる。あれ?もしかして意識してる俺の方がおかしい?


「ニコちゃんイイ感じに身体引き締まってるね。」

「う、うえ?」

「余分な脂肪0って感じ。好きだなあ」

「あ……ありがと」


褒められるのは悪い気はしない。
トマくんの指先がTシャツ越しに滑るけれど、引き締まってると言われて俺は思わずデレっとなる。

そりゃあ筋トレしてますから。2日に一回。今度は寮のジムにも通おうかと思ってますから!

褒められて嬉しい!


「あれ?ちょっと腹筋も割れてる?すご〜い」

「えへへ、実はね〜、…って、捲るな!!!」


気がつけば当たり前のようにTシャツを胸上まで捲られて見られてた。トマくんの手をばちん!と剥がす

くそ!見られた!
どうせならもっとバッキバキになってからドヤ顔をしようと思ってたのに!このセクハラ野郎め!


「そういうトマくんは?人のばっかりジロジロ見て不公平だよ!」

「え〜?」


どうせトマくん筋トレ嫌いって言いそうなタイプだから俺と同じくらいだろ、と思ってトマくんのシャツのボタンを取り始める

笑いながら「だいたーん」と言って、大人しく俺に脱がされてるトマくん。やかましい。

けれど俺は、途中で気づく。
真ん中あたりのボタンを外し始めたあたりで。

あれ。

この身体割と、
というか普通に鍛えられてるっていうか、

あんなにダラダラしてマイぺースに行動してるトマくんなのに普通に、筋肉ついてるっていう…か…

「・・・」


これは体質ってやつなのか。
絶対俺の方が筋トレしてるっていうのに。

綺麗に割れている腹筋を見て、殺意が湧いた。




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bkm