あした、もしも世界がおわるんだとしたら。
地球が爆発したり、隕石で吹き飛んだり、異常気象で人が住めるような環境じゃなくなったり、それか、地震で何もかもがめちゃくちゃになって、誰かが生きていてもおれは死んでしまっていたりして、まあ、だからつまり、あしたが最期の日になるのだとしたら、おれは、いったい何をしたいかなあ。
寮のベッドにころがりながら、とりとめのない思考回路を抱えた頭は3日後の宿題のことからいつの間にやら迷走して、全く関係のないことを考えはじめていた。
美味しいものが食べたいだとか、実家に帰りたいかなあとか、いろいろと頭に浮かぶことはあるけれど、いまいちピンと来ないのはそのイメージが無難すぎるからか、それとも、こんなもしも話に現実味が今一つ足りないからなのか。
うーんうーん、唸りながらなやんでみる。
だけれど本当は、何よりも誰よりも、まっさきに頭に浮かんだ顔が実はあって、なのにそれがあんまりにも恥ずかしく思えたから、おれは、ぐずぐずとばかみたいに気づかないふりを真面目に一人でやっている次第だったりするのだが。
まあしかし、結局その甲斐もなくおれのあしたもしも世界がおわるのだとしたらやりたいこと、というのはどうにもこうにも頭から離れてくれなくて、体のどこかはじりじりと音を立てるばかりだった。
その感覚に耐えられなくなって、どうにか逃れようと頭元の枕をぼふりと顔に押しあてても、何も変わらないしむしろ息苦しくなっただけで状況は悪化したと言えるだろう。
目をつむっても、目をあけていても、脳裏には控えめな笑顔と華奢な背中しか浮かばない。

「‥‥朴さん、」

ささやくように名前をつぶやけば、ああ、まさか、今すぐにでも世界が終わるんじゃあないかと思えるくらいにあの子に会いたくてたまらなくなって、どうしようもないほどに心臓がうるさくなってしまう。
こんなこと、今までに一度だってなかったはずなのに、
あの子のことを考えるだけで頭の中はいつも以上にふわふわして、胸は苦しくなって、体のどこかは痛みに似た奇妙な何かを走らせる。
これは一体なんだろう?
そう誰かに問うまでもなく、ピタリと当てはまるものをおれはたった一つしか思いつくことができなくて、苦しさを増す胸の内は誰かにぎりりと握られているかのように、駆け足のスピードを上げて身体のどこかを落ち着かなくさせるのだった、
















君 恋 し 病






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -