「あの、かどたさん、私‥聞いてもらいたいことがあるんですけど、いいですか？」
「ん？どうした珍しいな」
「あ、はい、ええと‥」
「‥言いにくいことか？」
「う‥そ、そうです‥すごく、言いにくいことで‥」
「そうか、お前がそんなふうにもごつくことなんてなかなかないし‥急がなくていい内容ならゆっくりでいいぞ？言えそうになったらおれに言うのでいいし‥まあ、その、なんだ。だからそんな、切羽詰まった顔するなよ」
「‥‥‥ありがとう、ございます。や、でも‥でもですね」
「‥うん？なにか困ったことにでもなったのか？おれにできることなら協力するぞ？」
「‥‥‥‥あ、の、」
「‥‥‥こにし？」
「わ、わたし‥」
「ああ、どうした？」
「‥‥っつ、き、あ、」
「‥つきあ？」
「‥‥‥って、いただけない、で、しょう、か」
「‥‥‥あ‥？‥‥つきあ、‥って、‥‥つきあ、って‥‥つきあって‥‥？‥付き、合っ、て‥‥？」
「は、い、付き合って‥ください、」
「付き、合う‥付き合う‥付き合う‥‥つーのは‥なあこにし、その付き合うって‥」
「どこへ行くのに、だとかは、言わないでくださいね‥？」
「‥‥‥‥‥。すまん、言いかけた」
「う、やっぱり‥」
「‥‥で、まあ、とゆうことはあれか、おれは今愛の告白をされた、と？」
「‥っあ、改めて言わないでください‥！！‥なんか、もう、死にそう‥」
「あほか。死ぬなっての、返事も聞いてないのに」
「うわあああん、とゆうか、聞いたらもっと死亡率あがりそう‥」
「だから‥なんで死ぬ方に持ってくんだおまえは。話をちゃんと聞け」
「ああぁあぁ‥、もう、やっぱり言うんじゃなかった言うんじゃなかった言うんじゃなかっ、」
「こら、こにし、は、な、し、を、聞、け」
「‥‥‥‥‥‥‥う、」
「返事は？」
「‥‥は、い」
「‥ったく。おまえはすぐ現実逃避しようとしやがって。とゆうか大体だな、なんでおまえはこのタイミングでおれにこんなこと言ってきたんだよ」
「‥‥だって、ゆまさきさんとかりさわさんが‥」
「‥、なんか、その名前が出た時点で嫌な予感がしなくもないが‥あいつらが‥なんだって？」
「心配、しなくても‥両思いなんだからズバッとシュパッとラブブでドーンして来なさい、と‥」
「‥‥‥‥‥‥あいつら‥」
「や、で、でも私はですね、二人が気を遣ってそう言ってくれてるのは分かってたんですよ、ええ。かどたさんには私、そうゆう対象に見られてないって分かってるしですね、」
「‥‥‥‥ストップ。待て、待て、ちょっと待て。おまえは全然分かってない」
「、でも私、色気もないし地味だしオタクだし、」
「‥なあこにし、そうゆうのって誰か好きになるのに関係あんのか？」
「え、」
「自分を不細工っつーほど貶めるのもあれだが、おれだって別段かっこよくもなけりゃ派手でもないし、オタクとまでは行かないが好きな事には出来たら浸ってたい気質だ。‥でも、そうゆうおれをこにしは好きだって思ってくれたから、付き合ってくれっておれに今、言ってくれたんだろ？」
「‥‥はい」
「‥まあ、あいつらの後押しでってのが引っ掛かるが‥」
「‥？かどた、さん？」
「今までこにしはまるで気付いちゃくれなかったわけだしなあ‥まあ‥もう、仕方ないってことにして、ここは素直にあいつらに感謝しとくことにするか‥」
「へ、あの、かどたさん‥？」
「‥ああ、うん、あのな、こにし。おれは随分と前からおまえにアプローチしてたんだ。‥でもおまえ、気付いてなかったろ？」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥え‥‥っえ？」
「‥はは、その反応見なくても分かってたことだけど‥やっぱりか。見事に毎回おれはフラれてその都度あいつらにからわれてたし‥でもそれに関してもおまえが気付いてなかったんだろうってのも、まあ‥聞くまでもない話か」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥いや、ちょ、ちょっと待ってくださ、い、それ‥‥え？‥‥‥ええ？‥‥え、ええぇぇぇえええええええ！？！」
「‥‥‥はあ、マジで気付いてなかったんだな。改めてちょっとへこむわ」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「っておーい、こにし、帰って来い」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「こら、あんま惚けてると‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥キスしちまうぞ？」
「‥‥‥、‥‥っはわ？わあああ！！？か、かかか顔が近いですかどた、さ、ん！！！！」
「‥‥‥おい、なんで両思いなのにそんな後退るんだよ。あとちょっとだったっつーのに‥」
「は！？え、うぇ、あ、あのホント私今頭が‥ま、回らない‥正常に働かないん、で、‥！！」
「へえ？そいつは困ったな。今度こそ伝わるように告白しようと思ったのにそれじゃまたフラれそうだ」
「とか言いながら、な、なんで笑って‥と、ゆうか、あ、あああの、かどたさん、さっきから混乱しすぎて私、意味が、」
「‥はあ。あー、もう、わかった。なら分かりやすく教えてやる。今すぐ。だから、覚悟しろよこにし。これ以上逃げられちまうのは‥さすがにおれも適わねえからな」
「かどた、さ、」
「遠回しに言うのはもう、やめだ。逃げねえ。はっきり言う。だからおまえも‥逃げんな」
「、」
「おれは、おまえがすきだ。結構前から。ライクも含めてのラブで、つまり、こうゆう意味で」
「っ、ん」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥、‥分かった、か？」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥おーい、こにし、戻って来い‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥は、ひ」
「わ、つかなに腰抜かしてんだ」
「‥‥‥‥び、びっくりしすぎて力が‥」
「‥‥まったく、世話の焼ける奴だな、ホント。もう分かったから‥おれにもたれとけ」
「い、いや‥それはいろいろ恥ずかし、い、ので‥」
「‥‥‥‥つーか、おれがおまえのこと抱きしめたいから却下」
「っわわわ！？」
「‥‥あー‥、さっさとストレートに言っときゃよかったな。まさかこにしに告られることになるとは‥いや、でもこれはこれである意味悪くはないような‥」
「か、かど、かどたさん‥！？」
「ん？なんだ、こにし」
「‥‥‥こ、これは‥‥どっきり？」
「‥‥‥‥‥まだ言うかこの口は‥‥」
「‥だ、だってこんな、いきなり！」
「‥‥いきなりじゃねーよ。さっき、前から好きだったって言っただろ？」
「でも、私かどたさんのことフった記憶なんか、」
「‥‥‥いや、うん、傷を抉るのはやめてくれ‥それはもう、忘れろ」
「あと、私さっき‥はいって言っちゃいましたけど、」
「‥‥あ？」
「かどたさん、自分のことかっこよくないとか派手じゃないとか言ってましたよね‥？でも実際すごくかっこいいし、私にはきらきらして見えるし、好きな事をしてるかどたさんは幸せそうで素敵なんです‥だからさっきかどたさんが言ってたのは‥間違ってます」
「‥‥‥‥‥、」
「‥すみません、訂正、しておきたくて」
「‥‥‥‥‥そ、れ、言ったらおまえだって、自分のことああ言ってたけど、‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥って、あ‥？ちょっと待てよこにし、おまえ‥その髪飾りどうした？そんなのいつもつけてないよな‥？なんか、どっかで見た気が‥」
「‥え？これ‥かりさわさんが今日つけて行きなよってくれたやつで、」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ほお？‥そいつは興味深いな、少し借りていいか？」
「あ、はい、どうぞ‥？」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥げ、」
「‥？なんですか？」
「‥‥‥‥こにし、これは預からせてもらう」
「‥‥え？え？な、なんでですか？」
「‥‥‥‥それについては言及しない方がおまえのためだと思うぞ、こにし。‥あとさっきの続きは、これを作った本人に突き返してから言うことにする」
「‥は、はあ‥？」
「ったく‥かりさわとゆまさきに感謝しちまったのは無しだな、あいつらふざけやがって」
「‥かどたさん？」
「‥‥‥んあ？」
「あの、よくわからないんですけど‥‥とりあえず確認だけさせてもらってもいいですか？」
「ああ」
「‥私は、かどたさんがすきで、かどたさんも私をすきという状態であり、それはどっきりでもなんでもなく‥ラブブでドーン‥なわけですか？」
「‥‥まあ、そうなるな」
「‥‥‥‥‥‥‥なんか、夢みたいです」
「‥ははっ、いや、夢でたまるかよ。せっかく願いが通じたのに」
「ふ、あはは、そう、ですね‥でも、やっぱり私、死んじゃいそうです」
「‥なんでだよ」
「だって、幸せすぎて」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥っ、あ"ー‥‥‥‥‥くそ、右に同じと言いたい、が‥‥この髪飾りの前では言いたくねえ‥‥って、あ、結局言っちまってるじゃねえか。っだあ！もう！かりさわ‥おまえ後で覚えてろよ‥」
「‥あの、かどたさん‥なんで髪飾りに話しかけてるんですか？」
「あー‥ああ、ちょっと、いろいろな‥うん、まあ‥気にするな」
「‥？」
「‥よし、つーわけでかりさわんとこ行くぞ。ゆっくり幸せ噛みしめんのはその後だ」
「‥い、イエス、サー‥？」
「ははっ、サーってこにし‥おれはこれっぽっちも残念じゃねえがおまえの上司じゃねえんだから。まあ、そこはダーリンとでも言い換えた方が正しいだろう、よ‥‥、あ、」
「‥‥‥ダーリン？」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥って、くっそ、また髪飾りの存在忘れてたああああ！！」
恋の成就と盗聴器
(髪飾り越しの会話を聞いていた件の二人はその時、某所で大笑いしていたとかそうでないとか)