「ゆまさきさん」
「うん?なんすか?」
「ゆまさきさんゆまさきさん」
「はいはい、ゆまさきっすよー」
「ゆまさきさんゆまさきさんゆまさきさん」
「はーい、‥ってもー、どうしたんすかさっきから」
「え?ああ、うん。ただ呼びたかったってゆう、ね」
「はあ」
「あと、なんだかさみしくて。こっち見てくれないかなあと、思って」
「あー‥」
「まあ、ゲームいいところだし別にいんだけどね」
「‥‥あー‥‥‥」
「‥‥‥‥‥って、あ、」
「‥‥‥‥‥おおっと、やっちゃったっすねー」
「‥え、うそだあ。絶対うそだあ。だってなんか今わざと死にに行ったでしょ、いつもあそこサクッとクリアしちゃうのに」
「あれ?そうでしたっけ?」
「うん」
「じゃあ、手が滑っちゃったんすねえ」
「いやあ、そんなばかな」
「ま、それは置いておくとして。こにしさん」
「うん、なあに?」
「こにしさんこにしさん」
「‥はーい、こちらこにしですが。ねえゆまさきさん、あたしのまねっこ?」
「あはは、そっすね、なんかこにしさんにつられておれも名前呼びたくなっちゃったっす」
「あはは、そっかあ」
「こにしさん、」
「はあい」
「こにしさん、こにしさん、こちらゆまさきですが応答願います」
「イエス、ゆまさき隊員、こちらこにしです」
「‥はは、あのですねこにしさん」
「はい、ゆまさきさん」
「ふざけましたけど、ゲーム、ホントはおれわざと手を滑らせたんすよねえ」
「‥あ、やっぱり。納得、不自然だったし。でもどうしてまた」
「え?そりゃあ、いきなりびっくりどっきり唐突に、こにしさんと遊びたくなっちゃったからっすよ」
「あら、あらあら、そなの?どうしよう、なんかうれしいなあ。でもその言い方ちょっとやらしく感じちゃった、ごめんね」
「いやあ全然。やらしい遊び大歓迎っすよ?」
「てゆうか‥その顔はむしろやらしい遊び推奨?」
「おや、お見通しで」
「だってじりじりこんなふうに迫られたら、ねえ?」
「まあ、でもそれは、ついコントローラを握る手を滑らしちゃいたくなるような気分にさせたこにしさんが悪いんすよ」
「ええ、あたしのせい?」
「もちろん。だから責任とっておれと遊んでほしいっす」
「なんか腑に落ちないなあ」
「けど、そのわりに抵抗はしないんすね」
「ああ、うん。やらしい遊びにちょっと期待しちゃったから」
「じゃあ、まず遊ぶ前に難易度を決めないとっすねえ」
「‥難易度?」
「ええ、難易度。ほら、ゲームにはつきものじゃないっすか」
「うん‥なんだか雲行きが怪しく感じるのは気のせいなのかなあ」
「気のせいっすよ。で、モードは3つ。イージー、ノーマル、ハード。どうします?」
「わお、ソッコー都合よくぶった切りましたねゆまさきさん‥。えっと、いろいろ突っ込みたいんだけど‥とりあえず、一応初心者だからイージーで、と言っておいてみようかなあ‥」
「ふむふむ、なるほど。すこぶる了解したっす」
「‥てゆうか、な、なんだか笑顔がぞくぞくしますねゆまさきさん」
「いやあ、こにしさんのちょっぴり怯えた顔がかわいくて」
「‥な、難易度はイージー、ですよ?」
「ああ、だいじょうぶっす。ちゃあんとわかってるっすよ」
「って、あれれ、なんだかますますいい笑顔‥?」
「ふふふん。さてさて、と、ゆうわけで。早速二人で楽しく遊ぶことにしましょうか、こにしさん」
「‥‥‥‥‥わあ、なんだかとっても‥楽しみだナァ」
「いやはや。奇遇っすね、おれもっすよ」
「‥あは、うん、そうだねえ」
「じゃ、まあ、ゲームスタートってことで」
「‥‥、へ?っわ、あ!」
「――‥リセットは、なしっすよ?」
お手柔らかに願います