(未)微妙な距離感



一年の計は元旦に有りというが、そんなので初売りを逃すまいと私と友達はショッピングモールで一汗流した。

「また明日、花子の家で服見せ合おうよ!」
「じゃあそれまでは見ないね!」
「うん、お雑煮食べて寝るだけ。」
「ザ煩悩って感じ。」

明日の約束をしながら、ショッピングモールの入り口で別れる。私は友達の歩いて行った方とは逆の神社のある方向へ歩いた。神社は初詣の人で賑わっていて、車道を挟んだ神社の入り口のある道とは違うところを歩く。

「あれ…。」

人混みの中に見知った姿を見つける。

「佐藤…?」

神社から出てきたみたいで、私と同じ方向にある十字路に歩いていた。私は十字路に差し掛かる所の信号を渡ってまだ気付いていない佐藤に声をかけて驚かそうと少し小走りになる。

信号まで着いて、色が変わるまで佐藤を見逃すまいと見る。と、さっきは見えなかった人がいた。

「あ…。」

名前は知らないけど、中学の頃 何度か佐藤とはなしていた時にニアミスした二個下の女の子だと気付いた。信号は残酷に青になっていたが足は前に進まなかった。
ただ何ともいえない気持ちで見ていると佐藤と目が合った。それはチクリとしたもので、初めて感じる少しだけ痛い感情だった。

重い福袋をぎゅっと握りしめて、踵を返した。私は帰り道で自分が気付かない間に佐藤の事をずっと好きだったこと、卒業してから二年間佐藤をたまに思い出していたこと、気付いた今手遅れということ、それらを絡まる頭の中で考えると自然と涙が出て来て昼間なのに嗚咽をしながら泣いてしまった。



次の日、私は友達に昨日あった事を話した。

「寿也くんの事、好きだったの…?」
「きっとそうだと思う。」
「…後輩の子って鈴木さんだよね。」
「確かそんな名前かな?」
「寿也くんは鈴木さんとは付き合ってなかったよ、」
「中学の頃はそうだろうけど、」
「どうにか確かめれたらいいんだけど…。」
「違っても、今更私が佐藤に会っても遅いと思う。」







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