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「えっ!」
「で、出たー!」
「祟りだー!!」
「そんな馬鹿なことあるわけねーぞ」


一人冷静なリボーンの言葉に一斉に皆が振り返れば、やはり骸は血を流して倒れたままだ。なのに目の前にいるビアンキは骸そのもの。一体どういうことなのだろうか。


「クフフ。まだ僕にはやるべきことがありましてね。地獄の底から舞い戻ってきましたよ」
「あと考えられるのは…まさかな…」


リボーンが意味深なことを呟くと獄寺が前に出て「ここは俺に任せて下さい!」と言った。でも相手は未だ正体が掴めぬ不透明な存在。そんな敵に獄寺はどうするのか。ツナと舞は少しの不安に駆られながら獄寺の様子を伺った。すると、あろうことか獄寺は魔除けを始めたのだ。


「臨・兵・闘・者!」
「(魔除けー!?何処でそんな知識をー?)」
「獄寺、真面目にやりなよ!」


だが本人は至って真面目だ。だからこそ本気でやっている獄寺にツナ達の顔はどんどんと引き攣っていった。


「…うっ、うう…」
「皆・陣・列!」
「え、嘘っ!」
「効いてる………!」


唸り声を上げ苦しむ姿を見てツナと舞は目をパチクリさせた。本当に効くとは双方微塵も思わなかったのだ。舞は秘かに「獄寺ごめん」と謝る。すると獄寺の魔除け効果かビアンキはどさっと倒れた。しかし油断もできない。もしかしたら演技の可能性もあるのだ。


「ビ…ビアンキ…?」


恐る恐るツナはビアンキに声をかけ、その様子を舞も隣で不安気に見つめる。すると2人に背後から影がかかった。それは獄寺の影。


「…獄寺?」
「俺、やりましょーか?」
「獄寺く……骸!!」


獄寺に向かってツナが叫んだ。彼の手には三叉槍が握られておりそのままツナを刺そうと振り落とした。危機一髪のところでツナは横へと転がる。


「ひいい!獄寺君が!」
「骸でしょ、あんた…」
「ほう。まぐれではないようですね。初めてですよ。憑依した僕を一目で見抜いた人間は……つくづく君達は面白い」


獄寺もとい、骸はニヤリと満足そうに笑った。やはり骸は他の人に憑依ができるらしい。でもそんなことが可能なのだろうか。ツナと舞は、ただただ驚くばかりだ。


「間違いねーな。自殺と見せかけて撃ったのはあの弾だな」
「あの弾…?」


リボーンの突然の言葉に舞は聞き返す。弾というのは死ぬ気弾のようなものであろうか。


「憑依弾は禁弾のはずだぞ。どこで手に入れやがった」


聞いたことのない憑依弾にツナと舞は首を傾げるとリボーンは詳しく説明をした。憑依弾とはその名の通り他人の肉体に取り憑いて自在に操る恐ろしい弾。エストラーネオファミリーが開発したが使用法の問題からマフィア界で禁弾とされているものだと。


「マインドコントロールの比ではありませんよ。操るのではなく乗っ取るのです。そして頭のてっぺんから爪先まで支配する。つまり、この体はーー僕のものだ」


骸は爪先を自身の首。いや、獄寺の首に当て傷つけた。するとツー…とそこからは血が流れ出す。


「骸止めてっ」


ただでさえ体がボロボロに傷ついている獄寺にこれ以上傷をつけたくなくて、舞は叫んだ。骸は舞に視線を移す。そして近づきソッと頬に手を当てた。


「ああ…舞。そんな顔しないで下さい。貴女は特別ですから傷つけたりしません」


やめて。自分と同じ翡翠色の瞳を間近で見て舞はそう思った。嫌だったのだ。獄寺の顔で話しかけられることが。笑顔を向けられることが。だから思いっきり胸を押した。


「やめてっ!その顔で話しかけないで!」
「おや。この人物は舞にとって大切な人のようですね。少し、妬けてしまいます」


骸はクフフと笑うと次はボンゴレ10代目、すなわちツナに憑依すると言った。彼の目的は最初からボンゴレ10代目を手中に納めマフィアに復讐することだから。そう暴露されるとツナは慌てながら、俺はダメダメだから良い事ないと悲痛に叫んだ。


「奴の剣に気をつけろ。あの剣で傷つけられると憑依を許すことになるぞ」
「よくご存知で。その通りです。もっとも僕はこの行為を“契約”すると言っていますがね」


骸は獄寺からビアンキに憑依をし、倒れている雲雀に三叉槍の刃をピッと当てた。そしてビアンキも力無くバタンと倒れる。辺りが沈黙し、ツナと舞はこれからやってくる嫌な未来が想像した。


「ま…まさか…!」
「今度は、雲雀先輩に…」


舞が最後まで言い終わる前に雲雀はユラ…と怪しげに立ち上がり、そしてトンファーでツナの頬を殴った。


「がっ、」
「ツナ君!」


しかし一度の攻撃をしただけで、ツナだけではなく雲雀までも床に倒れてしまう。これは骸の意思ではないようで、「おや?」と声を漏らした。


「この体は使いものになりませんね。これで戦っていたとは恐ろしい男だ。雲雀恭弥…」
「ああっ。骸の気配が消えた…!」
「気をつけろよ。また獄寺かビアンキに憑依するぞ」


ツナはリボーンの言葉により倒れている獄寺とビアンキの交互を見つめた。次、骸がどっちに憑依するのかわからない。どうしたらいいんだ、と頭を悩ませていると獄寺とビアンキの2人が一気に立ち上がった。そして、やられていた筈の犬と千種もこの部屋にやって来たのでツナと舞は目を見開かせた。


「あれは…!」
「奴らもだな」
「全員に、憑依してる…」


彼等から出ている雰囲気でわかった。千種達にも憑依していると。これで同時に4人の人間を憑依していることとなる。六道骸はそれほどまで強い力の持ち主なのだ。



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