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「(ツナ君どこまで行ったのかな?)」


キョロキョロと周りを見渡し、探し人であるツナの姿がないかを確認する。しかし、周りには連なる墓しかなく夜の墓地は寂しい印象を与えた。


「舞さん」
「あ、ランボ君」


名前が呼ばれたことに反応して舞が振り返ると、ランボの十年後の姿の大人ランボが佇んでいる。彼女は微笑みながら彼に近寄った。


「ランボ君こっちに来てたんだね」
「はい。どうやら子供の俺がまた10年バズーカを撃ったみたいです」
「そっかあ。あ、ツナ君見なかった?」
「ボンゴレ?見てないですよ」


舞はツナを探していることをランボに伝えた。するとランボは「俺も一緒に探します」と舞に同行することになった。


「舞さん」
「なあに?ランボ君」
「いえ…舞さんの声は安心します」
「ふふっ。何それ…?」


舞は朗らかに笑いながらランボに聞き返した。あの小さなランボが10年も経つとこんなにも口が上手になると思うとなんだか面白く感じられた。


「10年後のあたしの声も安心するの?」
「、っ」
「……?」


舞は首を傾げた。大人ランボの表情が明らかに曇ったからだ。それは舞が話し掛けた途端に。何か変なことを言ったつもりも無い。でも今思えば、彼はいつも舞の顔を初めて見た時から様子がおかしかった。会うたびに寂しそうに切なそうに瞳を揺らすのだ。その表情はまるで、焦がれ待ちわびていた人にやっと会えたように。それは舞の頭の中で嫌な想像をかきたてた。重くのしかかるような沈黙の中、舞は恐る恐る声を発した。


「…ねぇ。10年後のあたしに、何かあったの?」

「……っ」


ランボは何も言わない。ということは肯定、なのだろう。舞は動揺が隠せなかった。先程浮かんだ想像が本当なのかもしれないと思ったから。体がぶるりと震えた。怖くて、怖くて。それでも聞かずにはいられない。


「あたし……死んじゃった、?」


その言葉に大人ランボは深緑の瞳を大きく揺らして、唇を痛いほどにギュッと噛み締めた。そして何かに耐えるような悲痛な声で言葉を紡いだ。


「いえ…………貴女は死んでいません。今の俺にはそれしか言えません」





「………何で」


舞は俯きながら一言、声を漏らした。だってそれじゃあ納得できない。そんな悲痛に満ちた表情をされて、そっか……なんて私は受け入れられないよ。そんなことを思うと喉から何かが込み上げてくるような感じがした。


「っ、教えて。未来のあたしが…どうなっているかを」


舞は大人ランボのシャツを掴んで揺らした。お願いだから教えて、と。表情は焦燥感によって歪んでおり、それを見たランボも悲しみを一層深くした。直ぐに彼女はシャツを握っていた手の力を弱めたが手の震えは止まらなかった。


「………ランボ君」


涙を流すのを堪えながら、紡いだ消え入りそうな声で彼を呼ぶ舞。その言葉を聞くと、大人ランボは瞳を見開いた。その声で紡がれる自分の名前は未来では聞きたいと願っても聞くことのできないもの。本来であれば、未来のことを過去の人に伝えることはしてはならないことだ。それはわかっているが、自分の名前を呼ぶ声で大人ランボの気持ちは大きく揺らいだ。








「………わかりました。貴女に真実を話します」



だから…未来を変えて下さい。
























「貴女は……約一年前から目を覚まさないんです」





その言葉は聞いた彼女は驚きよりも悲しみよりも先ず最初に、“やっぱり”と思った。幸せを感じるとその分………見返りが襲って来ると自分でわかっていたのだ。


(私は幸せを与えられることを許されない)


それでも離れたくないと頭に浮かんだのは、銀髪で不器用な彼だった。



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