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ギラギラと輝く太陽を背にしてドンと佇むのは、夏が似合う熱血男、笹川了平であった。


「並盛の闘魚と呼ばれるこの俺のな!!」
「京子ちゃんのお兄さん!」
「スポーツが最後に辿りつくのはいつだって熱血指導だー!」
「(一番受けたくない指導来たー!!)」


なんでも了平はパオパオ師匠に呼ばれて此処へ来たらしい。ツナはそれを聞いて、余計なことすんなよ…とリボーンに心の声を発した。


「さあ!血を吐くまで泳げ!!」
「ざけんなっ。テメェの好きにはさせねーぞ」
「なんだとタコヘッド!!」
「やるか芝生頭!!」


プールサイドで二人は言い合いを始め今にも掴みかかりそうだ。ツナは慌てふためき、「こんとこで止めてください…」と喧嘩を止めるために二人に近寄った。しかしその時に「ビキッ」と良からぬ音が鳴り、それと同時に足に鈍痛が走った。


「あ!!足つった!!いででででで!」

「10代目!」
「つ、ツナ君!!」
「あ!」
「俺が助ける!任せとけっ」


ツナの異常に気付き、逸早く飛び出したのは了平である。彼は「とうりゃ!」と叫びながらカエルの様に四肢を曲げ、なんとも無様な姿でそのまま平行に着水をした。ぱぁん、と了平の体が水面にぶつかった音はあまりにも痛そうで、舞達は顔を歪めた。


「え"?ちょっ」


ツナは驚きのあまり言葉にならない声を発した。了平は着水した後、潜ったまま手足をクネクネと動かすという奇妙な動きをしていたのだ。そして、勢いよく水しぶきを上げながら軽快そうな表情で顔を出した。


「いやー。泳いだ泳いだ!」
「やっぱ泳いでたのー!!?つーか。助けに来たんじゃないんですかっ!?いでで!」
「いかん!!泳ぐのが楽しすぎてつい沢田を助けるのを忘れていた!!」


なんじゃそりゃー。ツナは唖然として口をポカーンと開けた。ツナよりも酷い泳ぎをしているこの男は、何故か自信が有り余るほど漲っているのだ。


「泳いで引っ張ってってやろうか?」
「いや。歩いてでいいです…」


ツナは、ふと思った。俺よりずっとメチャクチャな泳ぎなのに…お兄さんを見てたら。な…なんつーか。ツナは引き攣った笑みを浮かべながらボソッと呟いた。


「自信、湧いてきちゃった…でも、こんな自信でいいのかな…?」
「いいんじゃねーか?」


自信の無い自分の自信を後押ししてくれたのは、チャポンと浮かぶリボーン。そしてリボーンに続く様に皆も声を揃えた。


「そーだツナ。お前もうほとんど泳げてんだからさ」
「そっすよ!10代目が泳げないっつーなら皆泳げてないっスよ」
「安心して自信持ってください。ツナさん」
「ツナ君が泳げるよーになるまでバッチリ付き合うからネ!」


み…みんな…。ツナは温かな皆の声にじーん…と感動をし瞳を潤ませた。


「つーことで、すすっとやってみっか。なっ」
「新しい俺の理論を試して頂きます」
「お魚ちゃんでちゅよー」
「甘い!あと100本だ!!」
「ガッツだよ!あとは気合で!」
「(全部いっぺんにきたーーっ!)」



▽ ▲ ▽



太陽は西に傾き、辺りは夕焼けに染まっていた。皆はツナの背中を押し、押されたツナは大健闘をし、最後の一本でなんとか15m泳ぎきることに成功をした。皆は歓喜の声を上げながら、舞い上がりツナは「ありがとう」と感謝の意を表した。…しかし、今回はクロールではなく“平泳ぎ”のテストであったことはこの時は誰も知りおえなかった。ただ、仲間達と泳げたことを共に喜び合うのであった。



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