×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
6月の花嫁


純白のウエディングドレスは女の子の永遠の憧れ。そのドレスを見に纏うビアンキの姿は本当に美しく、舞達は目をうっとりとさせた。


「はひー!」
「ビアンキさん本当に綺麗!」
「素敵!」


まじ綺麗…とツナも見惚れる程、ウエディングドレスは女性の美しさを引き立たせる。ビアンキも幸せそうに頬を赤らめながら微笑んだ。


「ありがと。私…ずっとジューンブライドに憧れててリボーンにお願いしたら何度も頷いてくれたの…」
「ジューンブライドいいですーっ」
「私も憧れるーっ」


6月に結婚するとその2人は幸せになれると言われているジューンブライド。結婚を夢見る女子達なら、憧れずにはいられない。舞も憧れてはいたがハルや京子のように口に出すことはせず、密かに切なげに瞳を揺らした。ツナは隣室のリボーンの元へと向かいこの部屋からは退出すると、京子が「私達もそろそろ…」と式会場へ行こうと言い出す。ハルや舞もそれに同意し、この部屋を後にしようと歩き出すが何故か舞だけはビアンキに呼び止められた。


「どうかしましたか…?」


京子達には先に会場に行ってもらい1人残った舞は不思議気に首を傾げた。


「最近…隼人と何かあった?」
「えっ」
「だって違うもの。貴方達のお互いを見る目が…」


自身でも意識したつもりがなかった為、舞は驚いた。でも鋭いビアンキのことだからわかってしまったのだろう。舞が自分の過去を話してからお互いを見る目が今までとは変わってしまったことに。舞はわからなくてなってしまったのだ。獄寺とどんな風に向き合えばいいか。舞はビアンキの言葉に何も返せず視線を落とした。するとビアンキは舞の両手を自身のソレで優しく包み込んだ。


「人に向ける気持ちなんて日に日に変わるものよ。それに戸惑うのも自然なこと。だからこそ自分の気持ちから背いてはいけないわ。自分の気持ちにもっと正直になって相手とぶつかりなさい」


ビアンキの言葉からも握られた手からも優しさが伝わり、じわじわと舞の体に浸透していくようだ。絞り出すような声で彼女はビアンキに告げた。


「でも…迷惑になりませんか?」
「そんなことないわよ。気持ちをぶつけるのは、それだけ相手に心を許してるのと同じことだもの。それは相手にとっても嬉しいことよ」


獄寺もそうであったようにビアンキも温かい人だ。やはり姉弟だからであろうか。2人の行動は一緒ではないけど同じくらいの優しさが彼等から溢れていた。その優しさが舞には嬉しく同時に胸が苦しくなった。



▽ ▲ ▽



「それではお二人の結婚を祝して、」
「「「かんぱーい」」」


司会により乾杯の音頭が取られ、ビアンキとリボーンの結婚披露宴は開始された。舞の机にはお馴染みのメンバーが座っており皆が2人を温かく祝福した。その中でもツナとディーノだけは何故かソワソワとしているように見え、舞は奇妙さを覚えた。


「(ツナ君とディーノ何かあったのかな…?)」
「なあ舞」
「(それともまた何かに巻き込まれてるとか…?うーん。十分に有り得る…)」
「おーい舞」
「(だったらあたしも手助けを…)」
「舞ッ!!」
「わあッ!!」


ツナのことを考えると周りが見えなくなるのは舞の悪い癖。だから自分が呼ばれていることなど一切気づかなかったが、耳元で大きく呼ばれた為、嫌でも脳は覚醒した。耳の中でぐわんぐわんと声が木霊し、耳を押さえながら隣を見ると、悪戯が成功して嬉しがっているようにニカっと笑う山本が双眸に映った。


「た、武君!?」
「へへッ。何度呼んでも気づかなかったからついな」
「もう。吃驚したよ〜」


でも呼ばれているのに応えない舞が悪いわけで心の中で反省をし、「どうしたの?」と山本に訊いた。


「いやー。その格好似合ってるなって思って」
「え、」
「綺麗なのな」


ポッ。そのような効果音がつくくらい舞の顔は一気に赤く染まった。そのような言葉を恥ずかし気も無くポンポンと言うなんて此方の心臓に悪い。舞は赤くなったまま目を逸らし、「あ、ありがとう」とお礼をなんとか述べた。


「リボーンはどこ!!?誰が隠したの!!!」
「へ?」


山本と話をしていた舞であったが、思わず間抜けな声を漏らした。楽しく和気藹々の披露宴だったのにいきなりビアンキが凄い剣幕で叫びながら、「リボーンはどこ!?」と激怒しているのだ。両手には物騒なライフルガンを持って。会場には騒めきが生まれたが、直ぐにツナとディーノがビアンキに駆け寄り彼女を必死に宥めた。それでなんとか納得したのかビアンキは落ち着きを取り戻し、一旦お色直しをするために控え室へと向かって行った。


「い、一体何だったんだろう…?」


誰もそこまでは気に留めはしなかったが舞だけはキョトンと目を丸くさせ、先程起こったことを不思議に思った。しかし、その質問を答えるものは1人もいなかった。



Back